●こんなお話
世界最高のジャズドラマーになりたい学生さんとモンスターティーチャーとの戦いの話。
●感想
暗がりの中、ドラムの音だけが聞こえてきて。教室でドラムを叩いている主人公が映って、そこにスキンヘッドのおじさんが現れて無茶苦茶言って帰っていく。
その男は教師で、彼のバンドに入った新人さんの主人公が文字通り血をにじむ努力をするけど。再興の音楽家を育てたい教師が狂気の沙汰と言ってもいいくらいの指導をしていく。
画面全体がモノトーンで色が抑えられて暖色系の照明の映像で極力意識を役者さんだけに集中させる画面作り。そこで行われる授業の緊張感ったらないです。あの教師が教室に入ってくるだけで、こえーよー。とビビる雰囲気が凄かったです。
ジャズとか音楽の素人であるボクからしたら、主人公が叩くテンポが速いのか遅いのかわからないけど。それを理解できるのは教師だけ。音のズレなんかもすぐわかったり。弾いてる本人にすらわからないけど、最高の音楽を求める教師には小さな違いがわかる。その違いがわかるということで教師が音楽家として一流だというのがわかるけど、ただ教え方が無茶苦茶なのがこの映画の面白いところ。
罵声を浴びせ続けるのは当たり前で、3人の教え子にひたすらドラムを叩かせ、血まみれになりながらも教師が「終わり」と言えばもう終わり。いつか背中刺されないのかと心配になるような指導方法。
主人公も若くして死んでもいいから伝説になりたい。とジャズドラマーになりたいという一点突破。親戚たちは花形のスポーツとか成績とかもよくて、才能の固まりらしい。この家族の食事シーンは笑えて面白かったです。
というか、この先生の指導方法がだんだん笑えてきてしまうくらい。主人公を執拗に潰そうとします。
そして何とか大会に出られるようになっていくけど、大会に遅れそうになったことにより事件が起きて…。
ここから更に面白かったのは、教師が交通事故で亡くなった生徒がいると涙ながらに語っていたのは実は……となり主人公はあることをする。その後、主人公と教師の和解のようなシーンが描かれて、バンドに誘われてクライマックスで感動の演奏をするのかと思いきや。
ここでも更に酷いことあって、ここから主人公の耐えに耐えたものが一気に爆発して復讐劇としてのドラム演奏。圧倒的な迫力の編集がお見事で、息つく暇もない演奏シーンでした。
そして教師と主人公の戦いの演奏。その演奏をするうちに教師が求める最高の音楽家へと成長した主人公が誕生する瞬間でバチンとカットされて暗転。
ひたすらドラムの頂点へと向かおうとする主人公にそれを潰そうとする先生の戦いの一点突破な話で、悪い奴をやっつけるというエンタメとしてとても面白い映画でした。
そしてドラムを叩けない人が隣でいじけてる姿が可哀想なんだなと勉強になる映画でした。
☆☆☆☆
鑑賞日: 2015/04/21 TOHOシネマズ新宿 2015/10/05 Blu-ray
監督 | デイミアン・チャゼル |
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脚本 | デイミアン・チャゼル |
出演 | マイルズ・テラー |
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J・K・シモンズ | |
ポール・ライザー | |
メリッサ・ブノワ | |
オースティン・ストウェル |
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