●こんなお話
ミッドウェイ海戦に参加して海に墜落して漂流する兵隊の話。
●感想
真珠湾攻撃から半年後、日米両国はミッドウェイ島を巡って激突。昭和十七年六月、アメリカ海軍は日本艦隊の動静を傍受し、先手を打つべく空母部隊を出撃する。
航空母艦ヨークタウンより飛び立つ爆撃機部隊の一機に、クラレンス少尉とその射手リー伍長。彼らは敵艦への急降下爆撃を敢行するけど、被弾して太平洋上に不時着する。
そこから、広大なる海上に漂流する二人。太陽に焼かれながら、救援の一縷の望みにすがり、互いを支え合う。彼らの回想と苦難が交差しつつ、空母の指揮官が救助を巡って対立したり。
一方、僚機に乗る友人たちは行方不明となった主人公たちを救出するために頑張るけどゼロ戦に襲われたりしつつ。ミッドウェイで補給してまた飛び立って主人公たちを発見して感動の再会をしておしまい。
戦闘描写を中心とした大作戦争映画とは趣を異にし、本作は登場人物たちの内面や漂流という静的なシチュエーションに焦点を当てた構成になってました。
予算規模の限界からか、冒頭の戦闘くらいで戦闘機や空母のCG描写は控えめで、リアリティという点ではやや物足りなさを感じる部分もありましたが、その分、人物たちの苦悩や絆が丁寧に描かれていた印象です。
特に、海上に取り残された二人のやり取りは抑制の効いた演出で、極限状態における人間の心理描写として、一定の説得力があったと思われます。
また、戦争映画にありがちな派手な演出に頼らず、回想や会話劇を軸に物語を進める点において、むしろテレビドラマ的な親密さを感じる場面も多く、これはこれでひとつのスタイルとして興味深く見れました。
ただし、台詞回しや演技においてはやや単調なところもあり、感情の盛り上がりに欠ける場面も散見され、鑑賞中に集中力を維持するのが難しいと感じてしまいます。それに役者さんの顔が単純に覚えられず、誰が主人公なのかとかもよくわからないまま進行していきました。
総じて、戦争の喧騒よりも、人間の「待つこと」「耐えること」を描いた一作であり、戦史の中でも取り上げられることの少ない「漂流」というテーマに光を当てた点において、静かに評価すべき映画ではないかと思いました。
☆☆
鑑賞日:2025/07/25 Amazonプライム・ビデオ