映画【ゴジラvsコング】感想(ネタバレ):ゴジラとコングの激突、スクリーンに咆哮が響くモンスターバースの到達点

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●こんなお話

 ゴジラとコングが戦う話。

●感想

 巨大怪獣がスクリーンを暴れまわる中、ゴジラとコングという二大モンスターがついにぶつかり合うという構図だけで、すでに心を掴まれました。コングは人間によって管理され、施設の中で飼育されているような生活をしており、言葉こそ交わさないものの、少女と心を通わせる交流が描かれていきます。彼女だけがコングと意思の疎通を図ることができる存在として描かれ、彼女とのシーンはこの作品の中でも静かな温度を持っており、印象的です。しかしコングは限界の中に生きていて、閉じ込められているストレスからたびたび暴れ、檻を壊すような場面もありました。

 一方で、ゴジラは突如として大企業を襲撃し始め、人類は再び怪獣の脅威に晒されていきます。「なぜ今またゴジラが暴れだしたのか」と騒ぎが広がる中で、企業の陰に何かあると信じる陰謀論者の男性が登場し、彼は自身のポッドキャストで独自の情報を発信し続けています。その放送を聞いた少女とその同級生たちは、彼に会いに行き、ゴジラが襲った企業の跡地に一緒に潜入していくという流れになります。冒険的で勢いのある展開に乗って、観客もどんどん物語に巻き込まれていく印象を受けました。

 物語のもう一つの軸には「地球空洞説」を信じる科学者が登場し、ある巨大企業の依頼によって、地球の内部を探索するプロジェクトに参加することになります。その調査のためには、地球の中心部こそがタイタンたちの故郷であるとされ、そこへ向かうための鍵としてコングの力が必要とされます。大型の船でコングを運搬している途中、海上でゴジラが現れて初の接触となるバトルが繰り広げられます。大海原で繰り広げられるこの戦いの映像は非常に迫力があり、スクリーンに釘付けになりました。

 その後、コングは南極から地球空洞の入り口に案内され、科学者たちも専用の船でその未知の世界へと同行します。そこには様々な巨大生物が暮らしており、まるでもう一つの地球が広がっているかのようなビジュアルは、特撮映画としての楽しさが満載です。コングがその空間で嬉しそうに歩く姿にも、どこか哀愁が漂っていて、見ていて不思議な感情を呼び起こされました。

 やがてゴジラが再び動き出し、今度は香港に姿を現します。そして地面に向けて放射熱線を放つことで、コングのいる地底世界と香港がつながるという流れに。コングがその大穴を通って香港に現れ、再びゴジラとの激突が始まるという第2ラウンドへ突入します。全編ネオンが輝く香港の夜景を舞台にしたこの戦いは、画面が色鮮やかで映像的な華やかさがあり、まさに怪獣映画の醍醐味を凝縮したようなシーンでした。

 物語はさらに加速し、香港の地下に隠されていたメカゴジラが起動し、予想外の第三勢力としてゴジラとコングの前に立ちはだかります。力尽きかけていたコングの心臓を人間が電気ショックで蘇生させ、ふたたび戦いの舞台へと戻る場面も、アニメのような大胆な展開でした。そしてゴジラとコングが共闘するという構図が出来上がり、メカゴジラとの三者バトルがクライマックスとして描かれていきます。

 怪獣たちのバトルは作品全体を通して見やすく、派手なアクションに振り切っていて、とにかく迫力がありました。特に序盤の船上戦と終盤の香港決戦は、単純に殴り合うという構図にも関わらずテンポよく進み、画としても映えていて高揚感がありました。

 ただ、物語の展開に関しては少し戸惑う部分も多く、人間パートの描き込みの甘さが気になる場面もありました。陰謀論者の男と前作から登場している少女たちのストーリーが突飛な展開の連続で、特にアメリカから香港までトンネルで移動するシーンは、どのように受け止めればよいのか困惑してしまいました。警備の甘さや、重要なシステムが酒をかけられただけで停止するという描写には、観客として苦笑いをしてしまう部分もありました。

 また、コングが地球空洞の中で出会う世界についても、どこかファンタジー要素が強く、現実的な科学描写とのバランスがとりづらく感じました。重力の反転や、未知のエネルギーをアップロードするという技術的な話にも深掘りがなく、観客に委ねる形で進んでいく構成でした。さらに企業の社長や小栗旬さん演じるキャラクターなども、明確な背景や動機の描写が乏しく、人物像として印象に残りにくかったです。

 とはいえ、怪獣が主役の映画として、これだけのスケールと映像美で楽しませてくれる作品は貴重で、細かいことを気にせずに怪獣同士の戦いに身を委ねる時間としては、非常に満足度の高い一作だったと感じました。

☆☆☆

鑑賞日:2021/07/06 TOHOシネマズ日比谷 2022/10/22 NETFLIX 2025/07/06 Amazonプライム・ビデオ

監督アダム・ウィンガード 
脚本エリック・ピアソン 
マックス・ボレンスタイン 
原案テリー・ロッシオ 
マイケル・ドハティ 
ザック・シールズ 
出演アレクサンダー・スカルスガルド 
ミリー・ボビー・ブラウン 
レベッカ・ホール 
ブライアン・タイリー・ヘンリー 
小栗旬 
エイザ・ゴンザレス 
ジュリアン・デニソン 
カイル・チャンドラー 
デミアン・ビチル 
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