●こんなお話
アナキン坊やが砂漠の惑星からジェダイに見出される話。
●感想
物語は、通商連合が惑星ナブーを武力で封鎖するところから始まります。交渉のためにジェダイの使者としてクワイ=ガン・ジンとオビ=ワン・ケノービの二人が派遣されるも、その背後にはシスの暗躍があり、密かに計画されていた襲撃によって命を狙われ、ふたりは急ぎその場から脱出することになります。
ナブーでは女王アミダラが通商連合によって拘束される危機にさらされていて、ジェダイたちは原住民であるグンガン族と出会い、彼らの協力を得て、地中から船を借りて女王の元へと向かいます。女王を無事に救出し、事態の解決を図るため共和国の首都コルサントへと向かうのですが、途中、宇宙船が損傷してしまい、修理のために立ち寄ったのが砂漠の惑星タトゥイーンでした。
そこでジェダイたちは、奴隷として暮らす少年アナキン・スカイウォーカーと出会います。彼には特別な力があると感じ取ったクワイ=ガンは、その可能性に賭けるように、少年を解放するための手段としてポッドレースへの参加を提案します。タトゥイーンでのこのレースは、観客としては手に汗握る展開となっており、スピードと重低音に満ちた音響と、映像の迫力がスクリーンにあふれていました。
少年アナキンは見事勝利し、晴れて自由の身となってジェダイたちと共に旅立つことになります。コルサントにたどり着いた一行は、共和国の元老院にナブーの現状を訴えますが、政治的なやりとりに終始し、即座の解決にはつながりません。女王は民のために自ら行動を起こし、不信任案を提出して新たな議長を推す展開になります。
一方、アナキンをジェダイとして育てるべきかどうか、評議会でも意見が分かれる様子が描かれていきます。そのような中、女王は民のもとに戻ることを決意し、ジェダイたちも同行する形でナブーへ帰還します。そこでグンガン族に再び協力を仰ぎ、通商連合に対する全面的な反撃を開始する準備が整います。
ナブー解放のための作戦は、空・地上・城内・宇宙それぞれの場所で同時に進行していきます。原住民による地上戦、王宮内での女王の突入作戦、宇宙空間ではアナキンが敵の司令船に偶然飛び込むことになり、ジェダイたちは敵の親玉と対峙するという、緊張感の連続です。
とくにラストの剣劇。ダース・モールとの戦いは、静かな緊張から始まり、ジョン・ウィリアムズの音楽と共にテンポが加速していくリズムがとても心地よく、ジェダイとシスが初めて本格的にぶつかる瞬間として、何度観ても胸が高鳴ります。とにかくダース・モールというキャラクターの造形美、そして無口さから漂う威圧感には、ただ登場して立っているだけで十分な存在感がありました。
一方、少年アナキンのドッグファイトの場面は、偶然の連続によって勝利する構成で、若干乗り切れない部分も感じました。フォースを前面に押し出すのではなく、機械の故障や偶然の連鎖で物語が進んでしまう点にやや唐突さを覚えます。アナキン初登場時の「Are you an Angel?」という台詞には少し笑ってしまいましたが、彼の純粋さと同時に、後の運命の重さを想像させるような静かな始まりとも取れる場面です。
物語全体としては、ジェダイがアナキンという少年と出会い、彼の運命が動き出す最初の一歩を描く内容となっていて、ナブーの民族間の和解や、共和国政治の混乱など、スター・ウォーズの世界の広がりを改めて感じられる構成になっています。政治劇と戦争、少年の成長譚が交差することで、ファンにとっては見応えのある一本になっていたと思います。
☆☆☆
鑑賞日: 2015/12/22 Blu-ray 2023/11/26 Disney+
監督 | ジョージ・ルーカス |
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脚本 | ジョージ・ルーカス |
出演 | リーアム・ニーソン |
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ユアン・マクレガー | |
ナタリー・ポートマン | |
ジェイク・ロイド | |
イアン・マクダーミド | |
ペルニラ・アウグスト | |
オリヴァー・フォード・デイヴィス | |
ヒュー・カーシュル | |
アーメド・ベスト | |
アンソニー・ダニエルズ | |
ケニー・ベイカー | |
フランク・オズ | |
テレンス・スタンプ | |
ブライアン・ブレスド | |
アンドリュー・セコンベ | |
レイ・パーク | |
ルイス・マクリード | |
ワーウィック・デイヴィス | |
サミュエル・L・ジャクソン | |
キーラ・ナイトレイ |