映画【スリザー】感想(ネタバレ):寄生と変貌の果てに描かれる、夫婦の終着点

slither
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●こんなお話

 田舎町にナメクジみたいなエイリアンが墜落して人間に感染して、どんどん広がっていく話。

●感想

 物語の始まりは、とある平凡な夫婦の日常から。夫は妻に求めても応えてもらえない苛立ちが募っていた。そんな中、彼はふと夜の街に出る。バーにふらりと入り、そこで偶然出会った女性と言葉を交わし、酔いの勢いのまま森の中を歩くことになる。

 薄暗い森の中で、ふたりはふとした拍子に、奇妙な何かに出くわす。何とも説明のつかない異形の存在。その異様なフォルムに惹きつけられるように近づいた瞬間、夫の身体にその生物が侵入してしまう。あまりの速さに抵抗もできず、気づけば身体を乗っ取られていた。

 家に戻った夫の様子はどこかおかしかった。言葉少なで、目の奥には得体の知れない光が宿っている。妻は異変を感じながらも、しばらくは静観するが、次第に夫の行動が凶暴性を帯びていき、ついには襲いかかってくる。その現場に偶然立ち会った警察官たちの介入によって事なきを得るが、夫はそのまま姿を消す。

 その時期はちょうど鹿狩りのシーズンで、地元の男たちとともに山の中で夫を捜すことになる。怪物のように変貌した夫を前にしても、妻は言葉で呼びかけようとする。けれど、行方不明の女性の夫が現れ、怒りにまかせて銃を向けたことで、事態はさらに混迷を深めていく。夫は再び姿を消し、山小屋へと舞台は移る。

 小屋の中では、行方不明だった女性が発見される。けれどその姿は異様なものだった。身体は不自然に膨れ上がり、やがて激しく膨張していく。そしてついに破裂し、体内からはナメクジにも似た生物が大量に飛び出してくる。それらは周囲の人々に襲いかかり、次々と身体の中に入り込んでいく。

 寄生された者たちは理性を失い、次々と街へと現れる。住民にも感染が広がる中、なんとか生き延びたのは一家の娘ひとり。警官が彼女を救出し、さらに連れ去られた主人公である妻を助けるべく、決意を新たに行動を開始する。

 寄生されそうになった女性の中に残ったわずかな意識が、ある手がかりを伝える。「あの男を倒せば、終わる」と。夫のアジトへと向かった妻は、変わり果てた夫と対峙する。警官は格闘の末、ついにガスを夫の体内に注入し、妻が銃で点火するという決断に至る。そして全てをおしまい。

 物語を通して、ジャンル映画らしいお約束の展開が随所に散りばめられており、そうした意図がきちんと伝わってくる構成でした。異形のクリーチャーや、肉体の変化を伴う変身、どろどろに溶けていく人体の描写など、ホラーとSFの境界を行き来するような要素が多く、ジャンルファンには楽しい部分が多かったように思います。

 ナメクジのような生物が口から侵入していく描写や、膨張した人間の破裂シーンなどは、視覚的なインパクトが強く、時折目を背けたくなるようなグロテスクさがありました。ただ、その一方でそうした場面にもどこかユーモアが漂っており、深刻すぎないバランスで物語が展開していた印象です。

 笑いと恐怖の狭間でゆらぐようなトーンは、人によっては少し戸惑いがあるかもしれませんが、個人的にはその振れ幅が本作の魅力のひとつでもあると感じました。人がとんでもない死に方をしている傍らで、登場人物が軽口をたたくという演出がなされていて、それがどこか“分かってやっている”感覚があり、制作者の遊び心のようなものが感じられたように思います。

 全体を通して、既存のジャンル映画への目配せとオマージュがありつつ、それを自分たちなりのスタイルで見せていくという意志が伝わる作品でした。気持ち悪さと面白さが入り混じる映像体験を求めている方には、満足感のある一本だったように思います。

☆☆☆

鑑賞日: 2015/02/23 DVD 2025/07/09 Amazonプライム・ビデオ

監督ジェームズ・ガン 
脚本ジェームズ・ガン 
出演ネイサン・フィリオン 
エリザベス・バンクス 
マイケル・ルーカー 
タニア・ソルニア 
グレッグ・ヘンリー 
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