映画【大脱出】感想(ネタバレ):スタローン×シュワルツェネッガー!最強コンビが挑む脱出劇の爽快アクション

escape-plan
スポンサーリンク

●こんなお話

 アクション2大スターが刑務所から大脱出する話。

●感想

 映画の冒頭は、刑務所の中で主人公がなにやら動いている場面から始まる。観客はまずそこで、彼がどういう人物なのか、なにをしようとしているのかを知らされる。カメラの視線は静かに彼の動きを追い、そこから物語が始動する。すぐに明かされるのは、この男、並の囚人ではないということ。知略と胆力を兼ね備えた存在であり、ただの服役囚では終わらない雰囲気を放っている。そして舞台は、本題となる“絶対に脱出不可能”と呼ばれる特殊な刑務所へと移っていく。ここに収監された主人公が、どうやってその難攻不落の場所から抜け出すのか。観客の目は自然とそこに引き込まれていく。

 物語を牽引するのは、シルベスター・スタローンとアーノルド・シュワルツェネッガーの2大スターの共演。筋骨隆々の男たちが同じ画面に収まる安心感と、どこか懐かしさも感じるようなアクション映画ならではの空気が漂っている。リアリズムというよりは、“映画らしい映画”としての魅力を前面に押し出していて、その割り切りが心地よいと感じました。

 スライ演じる主人公が、なにやら策略をめぐらせている横で、シュワちゃんが「今、どうするんだ?」と問いかける。これはもう観客の代弁のような役割を担っていて、その構図がとてもわかりやすかったです。作戦の進行や状況説明もシュワちゃん経由で自然に語られるようになっているので、話の筋が追いやすく、テンポも良く感じました。場面の切り替えも多くて、アクション映画にありがちな単調さを避ける工夫が随所に見られました。

 ただ、“史上最高のセキュリティ”という触れ込みの刑務所の割には、警備がゆるやかだったのは驚きでした。看守の目は意外と節穴で、監視カメラの精度もあやふや。協力者となる医師も、動機がいまひとつはっきりせず、いつのまにか脱走チームの一員になっている。終盤は完全に銃撃戦となっていて、もはや脱獄というより戦争映画の趣すらありました。

 とはいえ、悪役の存在感はなかなか印象的で、「マンハイム」と呼ばれる人物の存在が物語の裏軸として効いていました。彼をめぐって主人公と看守たちの攻防が繰り広げられる中で、どこか舞台劇のような緊張感が持続していたように思います。華やかさという点では、全体がほぼ刑務所内で完結しているので、どうしても映像の幅は狭めに感じました。ただ、イスラム教徒の囚人仲間の活躍は目を引き、物語に奥行きを与えてくれる存在だったと思います。むしろ主役ふたりを食ってしまいそうな勢いがありました。

 クライマックスでは、スローモーションのシュワちゃん機関銃シーンや、監視カメラにチーズするお茶目な演出など、往年のファンには嬉しいサービスカットが満載で、そうした場面のひとつひとつが作品の個性として生きていたと感じました。そしてなにより、スタローンとシュワルツェネッガー、二人が息の合ったコンビとしてスクリーンを支えている、その関係性の温かさが作品全体を柔らかく包んでいた印象があります。

 娯楽作品として必要な要素をしっかり押さえていて、何も考えずに楽しめる映画だったと思います。現実的な厳密さや社会派的なテーマを求めるのではなく、ただ画面の中で繰り広げられる男たちの知恵と力の戦いを楽しむ、そんな映画だったと感じました。

☆☆☆

鑑賞日: 2014/01/11  TOHOシネマズ南大沢  2014/11/10 Blu-ray

監督ミカエル・ハフストローム 
脚本マイルズ・チャップマン 
アーネル・ジェスコ 
出演シルベスター・スタローン 
アーノルド・シュワルツェネッガー 
ジム・カビーゼル 
カーティス・“50セント”・ジャクソン 
ビニー・ジョーンズ 
ビンセント・ドノフリオ 
タイトルとURLをコピーしました