●こんなお話
酒乱の父親が原因で離ればなれになった兄弟が同じ総合格闘技の大会に出場して再会する話。
●感想
総合格闘技をテーマにした本作は、単純に格闘技映画として観ても胸が熱くなる内容となっております。主人公である兄弟二人の生い立ちやそれぞれの境遇が、まるで彼らの格闘スタイルに反映されているかのようで、戦う姿からもその背景がしっかりと伝わってきました。格闘シーンの迫力が映画の肝となる中、緊迫感あふれるリアルな描写は非常に見応えがあり、最後まで興奮を持続させることに成功していました。
物語は家族の再会と和解を軸に進みます。離れ離れになっていた家族が一つひとつの境遇を丁寧に描きながら徐々に絆を取り戻していく様子は、古典的ながら心に響くものでした。例えば、兄弟の一人は軍隊を新たな居場所と考えましたが、そこでも自分の居場所を見つけられずに飛び出してしまいます。もう一人は娘の病気という困難に直面し、家計も厳しくなって家を手放さなければならない状況の中、奥様の反対を押し切って格闘技のリングに復帰します。さらに一家離散の原因となった父親も、映画の中で『白鯨』の音声を聴きながら断酒に努める姿が描かれており、その心情の変化に深みを感じました。
劇中、ブランクのある元教師で格闘家の人物がロシアのチャンピオンを倒すシーンは、展開が少々早すぎる印象も受けましたが、物語の盛り上げとしては効果的であり、スポ根映画としての爽快感に満ちていました。殴り合うことでお互いの心を浄化し、成長していくというテーマがしっかりと描かれており、格闘技ファンのみならず多くの観客の共感を呼ぶ作品に仕上がっています。
☆☆☆☆
鑑賞日: 2015/11/15 Blu-ray
リンク
監督 | ギャヴィン・オコナー |
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脚本 | ギャヴィン・オコナー |
アンソニー・タムバキス | |
クリフ・ドーフマン |
出演 | トム・ハーディ |
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ジョエル・エドガートン | |
ニック・ノルティ | |
ジェニファー・モリソン | |
フランク・グリロ |