映画【裏切りのサーカス】感想(ネタバレ):冷戦の静かな戦場へようこそ。

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●こんなお話

 イギリスの諜報部員の中にソ連の内通者がいるぞって探る話。

●感想

派手なアクションや爆発は一切なく、冷戦時代特有の張りつめた空気と、登場人物たちの疑心暗鬼がじわじわと広がっていく。そんな静かな緊張感で満ちた映画でした。

 とにかく登場人物が多くて、それぞれが本名で呼ばれたりあだ名で呼ばれたりと混乱しやすく、顔と名前を一致させるのが大変でした。さらに、過去のパーティーの回想シーンや、「ウィッチクラフト作戦」など覚えることが多く、情報量を整理するだけでもかなり頭を使うもので、物語の把握に集中力が求められる作品でした。

 スパイ映画と言っても、銃撃戦や逃走劇があるわけではなく、やっていることは機密書類の入ったカバンのすり替えや、万引きのような地味な活動ばかり。しかし、そういった静かな駆け引きの中に緊張感が張りつめているのが特徴です。

 イギリス諜報機関「サーカス」内に潜む裏切り者を探すというメインプロットに加えて、ソ連で捕らえられて拷問を受け、現在は教師となっている元スパイの男や、ソ連の女性スパイに恋をした別のスパイの話も並行して描かれていきます。それぞれのエピソードが複雑に絡み合いながら、静かに真相に近づいていく構成は見応えがありました。

 120分ちょっとという尺の中にこれだけの情報を詰め込み、しかも登場人物がそれぞれ役割を持っているのは見事。ただ、もう少し山場や見せ場のような場面があれば、物語への没入度もさらに高まったと思います。

 地味だけど知的で、静かな戦いが好きな人にはしっかり刺さるタイプのスパイ映画だと思います。

☆☆☆

鑑賞日: 2013/02/10 DVD

監督トーマス・アルフレッドソン 
脚本ブリジット・オコナー 
ピーター・ストローハン 
原作ジョン・ル・カレ 
出演ゲイリー・オールドマン 
コリン・ファース 
トム・ハーディ 
ジョン・ハート 
トビー・ジョーンズ 
マーク・ストロング 
ベネディクト・カンバーバッチ 
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