映画【ブラザーフッド】感想(ネタバレ):兄弟の絆と戦争の悲劇を描く圧巻の韓国戦争映画

tae-guk-gi
スポンサーリンク

●こんなお話

 朝鮮戦争が勃発して仲のいい兄弟が大変なことになっていく話。

●感想

 韓国で、靴磨きをして家計を支える兄と、進学を目指す弟。仲の良い兄弟で、兄はまもなく結婚も控えている。そんな中、北朝鮮軍が突然南進を開始。家族で疎開することになり、汽車で叔父の家へ向かおうとするが、弟が徴兵されて連れていかれてしまう。兄は何とか助けようとするが、結局2人とも強制的に徴兵され、母や兄の妻と離れ離れに。

 戦場では兄が弟を守ろうと必死で戦い、地雷原設置のような危険任務にも志願。弟は心配しつつも、兄の覚悟に圧倒される。北朝鮮の拠点・平壌まで進軍し、大佐を捕らえるという重要任務も成功するが、その過程で戦友が命を落とし、弟は兄の行動を責めるように。

 やがて兄弟は北朝鮮軍の知り合いに再会し、捕虜として扱われる。兄は捕虜を殺そうとするが、弟がそれを止める。その後、中国の人民解放軍が参戦し韓国軍は撤退、混乱の中で知人が射殺され、弟は激しく怒る。

 ソウルに戻った弟は家族と再会するが、義姉が共産主義者だと疑われ逮捕される。弟も巻き込まれて拘束され、兄が助けに来るが、銃撃戦の中で兄の妻が撃たれて死亡。弟は再び怒りを爆発させる。

 弟は収容所に入れられ、兄は上官に釈放を求めるが認められない。その後、戦闘の混乱の中、弟のいる施設が「燃やせ」と命じられ、火の海になり、兄は精神的に崩壊してしまう。

 時が経ち、弟は兄が北朝鮮側の英雄になっているという噂を聞き、戦場に戻って兄のいる部隊を探す。激しい戦闘のさなか、ようやく兄を見つけるが、兄は記憶を失っており弟を殺そうとする。必死の呼びかけで一時的に正気を取り戻した兄は、弟を逃がし、自分は戦場に残る。

 ラストは、老人となった弟が兄の遺体が見つかったという知らせを受けて訪れる。そして、かつて兄と過ごした日々を思い出しながら物語はおしまい。

 2時間半という長尺の中で、ほとんどが激しい戦闘シーン。韓国映画とは思えないほどの大迫力で、ハリウッド級の戦闘描写が続く。それだけでも一見の価値がありました。物語としても、仲の良かった兄弟が戦争に巻き込まれ、弟を守ろうと必死になる兄、その兄に心が追いつかなくなる弟という構図が、徐々にすれ違いを生みながらも、深い絆を感じさせてくれます。

 クライマックスの泥だらけの顔で誰が誰かわからない中でも感情を伝える主演2人の熱演も印象的。ただし、韓国映画特有の過剰な感情演出――泣き叫ぶシーンに大音量の音楽が重なる展開が何度も続くため、少し疲れてしまう部分もありました。特にラストの弟が兄を探しに北朝鮮軍の陣地に潜り込むくだりは、ドラマとして盛り上がる反面、やや引き延ばしに感じられます。

 とはいえ、戦争の非情さや、同じ民族同士が殺し合うという愚かしさを描きながらも、エンターテインメントとして見ごたえのある作品に仕上がっていました。

☆☆☆

鑑賞日: 2015/09/19 DVD 2024/10/16 Amazonプライム・ビデオ

監督カン・ジェギュ 
脚本カン・ジェギュ 
出演チャン・ドンゴン 
ウォンビン 
イ・ウンジュ 
コン・ヒョンジン 
チェ・ミンシク 
タイトルとURLをコピーしました