映画【オペレーション・メコン】感想(ネタバレ):全編アクション満載!中国製ミリタリーエンタメ映画の最新形

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●こんなお話

 東南アジアの国家が及ばない地域で中国人が惨殺されたので、中国の特殊部隊が潜入して逮捕しようとする話。

●感想

 各国が協力して国際的な犯罪組織の壊滅を目指すというスケールの大きな物語が展開されていく本作は、中国を中心とした特殊部隊による壮絶な戦闘アクションをこれでもかと詰め込んだ、アクション映画好きにはたまらない一本でした。物語は中国人が海外で残虐な手口により殺害された事件をきっかけに動き出し、各国の連携のもとで犯罪組織に迫っていく形をとっています。しかし、実質的な作戦行動の中心となるのは中国側で、現地の警察や軍と連携することなく独自に作戦を展開するあたりに、国家の強い意志や誇りのようなものも描かれており、そのあたりの演出からは中国映画ならではのエネルギーも感じられました。

 物語の流れとしては、情報提供者との接触、敵組織への潜入、そしてその潜入がバレるかどうかの緊迫した駆け引きへと進んでいき、そこから一気に銃撃戦へと発展していきます。潜入捜査の緊張感が途切れることなく続く構成になっていて、途中で思わず息を飲むようなシーンもあり、そうした緩急のつけ方が非常に上手く、最後まで飽きさせないつくりになっていたのが印象的でした。

 アクションに関しては、銃撃戦、近接格闘、カーチェイス、さらには船上での追撃劇と、本当に多彩なスタイルが次々と繰り広げられていき、視覚的にもボリュームたっぷりでした。スロー映像を効果的に用いたカットや、ドローンを使ったような自由自在なカメラワークもあり、視点が突然宙に浮くように動いたり、車の下をくぐったりと、見ていて驚かされる映像の工夫も随所に見受けられました。こうした演出はカーチェイスの場面で特に顕著で、迫力とスピード感が融合した映像に引き込まれるものがありました。

 ただし、登場人物の描き方に関してはやや物足りなさも残りました。物語の中心となる隊長と、現地で協力する情報提供者の2人には一定の描写があったものの、その他の隊員たちは名前も顔も印象に残るような描写が少なく、誰が戦って誰が倒れているのかが曖昧になりがちでした。そのため、戦闘中に負傷したり退場していくキャラクターへの感情移入が難しく、ドラマとしての深みにはやや欠ける部分もあったかと思います。

 とはいえ、そうした点を差し引いても、アクションエンターテインメントとしての力強さは十分で、次々と繰り出されるアクションの密度に押し切られるようにして最後まで夢中になって観てしまいました。とくに劇中で活躍するワンちゃんの働きぶりには目を見張るものがあり、彼の奮闘が映像に華を添えていたのも個人的には好印象でした。

 軍事アクション映画として、国家的なメッセージを込めつつも、それを前面に出しすぎることなく、観客に純粋なスリルと高揚感を届けるエンタメとして仕上がっていたことが、本作の大きな魅力だと感じます。

☆☆☆☆

鑑賞日: 2019/03/22 DVD

監督ダンテ・ラム 
アクション監督トン・ワイ 
脚本ダンテ・ラム 
チュー・カンキ 
ラウ・シウクワン 
タム・ワイチン 
エリック・リン 
出演チャン・ハンユー 
エディ・ポン 
チェン・パオクオ 
スン・チュン 
フォン・ユェンチャン 

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