ドラマ【24 -TWENTY FOUR- シーズン3】感想(ネタバレ):潜入捜査と生物兵器が交錯する緊迫の一日

24 Season 3
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●こんなお話

 バイオテロの脅威があるぞってんで、ジャック・バウアー今回も奮闘します。

●感想

 生物兵器で感染した死体が送りつけられてバイオテロが示唆される。ジャック・バウアーはウィルスを捜索するために長期間にわたってサラザール組織へ潜入し、その信頼を得るために危険な綱渡りを続けていた。組織との接点を途切れさせないためには、リーダーであるラモン・サラザールを刑務所から脱獄させる必要があり、ジャックはFBIにもCTUにも何も告げずに単身で行動することを決める。後戻りできない状況の中で、彼はラモンを脱獄させ、そのまま共に逃亡しながら麻薬カルテルへ潜り込んでいく。

 CTUでは、ジャックの部下でありクロエの恋人でもあるチェイス・エドモンズが、彼の無謀とも思える行動に激しく反発しつつ、真意を探りながら追跡を続けていた。ジャック自身は過去の潜入捜査で使った薬物の後遺症に苦しみながらも、組織への潜入を維持するため無理を重ねる日々が続く。

 カルテル内で進められる取引の中心にいるのはラモンでも兄のヘクターでもなく、裏側で糸を引く別の人物がいた。実は黒幕こそ、かつてジャックと任務を共にし、バルカン作戦で死んだと思われていた元MI6工作員スティーブン・ソンダースであった。彼は大統領デイビッド・パーマーへの復讐を胸に秘め、生物兵器ウイルスを世界へばらまける体制を整えていた。

 ウィルスの取引現場の競売相手として現れるニーナ・マイヤーズ。サラザール兄弟よりも高値を提示してウィルスをニーナにとられる。ジャックは彼女を捕らえて脅迫して取引相手と交渉させる。交渉で銃撃戦になるが、ウィルスが入ってるカプセルは偽物でサラザール兄は爆死、弟は交渉を轢こうとしてサラザール兄に射殺されて、サラザール一味は崩壊したが、ウイルスの本物はすでにソンダースの手中にあり、彼が仕掛けた取引は完全な時間稼ぎでしかなかった。

 ソンダースはロサンゼルスに潜伏し、市内のホテルへウイルスを散布。宿泊客は一斉に感染し、建物は外から封鎖される。捜内部では感染者が急速に増え、街全体に不安が広がっていく。ホワイトハウスに接触したソンダースは、大統領パーマーへ要求を突きつけ、従わなければアメリカ各地でさらなるウイルスを放つと宣言する。政府は選択を迫られ、CTU内部にも重苦しい空気が漂う。

 CTU職員ミシェル・デスラーは感染ホテルの中に閉じ込められたまま指揮を執り、夫のトニー・アルメイダは彼女を救うために苦しい判断を繰り返す。その一方で、CTUはソンダースの行動を読み取り、彼の唯一の弱点である娘ジェーン・ソンダースを発見し、身柄を確保する。ジャックは彼女を交渉材料として用いようとするが、ソンダースは逆に娘の身柄を要求し、拒めば残りのウイルスを解き放つと脅しを強める。

 パーマー大統領の妻、シェリルも暗躍して権力の座を求めて暗躍。しかし大統領選の相手にパーマー大統領の弱みを売ったことにより、証拠の薬の瓶を盗もうとパーマー大統領の弟が侵入してシェリルと鉢合わせ。さらに弟の恋人もシェリルに人生を狂わされたと錯乱して銃をシェリルに発砲して自殺。

 さらにソンダースの部下がミシェルを人質に取ったことで、トニーは国家機密を犠牲にしてでも妻を守る道を選んでしまう。彼はジェーンの居場所を漏洩し、ミシェルと交換しようとするが、ジャックに阻止されて人質交換の場で戦闘機を投入してソンダースを捕らえる。残されたウイルスを散布しようとした部下もチェイスの身を張った行動により阻止される。

 最後の1本を持った犯人を追いかけて、チェイスはウイルス容器を腕につけられてしまい、ジャックは応急処置として彼の腕を切断して救出することで、アメリカ全土への拡大は辛うじて防がれる。トニーは国家反逆罪で逮捕され、大統領パーマーは選挙を揺るがすスキャンダルが暴露されて再選レースから退く。チェイスは現場から離れ、キムと共に生きる道を選び、ジャックは長い24時間の末に孤独な涙を流す。生き残ったものの、その精神は限界に達しつつあるように見えておしまい。


 南米の麻薬カルテルに潜入するため、ジャックがあえて逮捕済みのボスを脱獄させるという大胆な作戦に踏み切る展開は、とても刺激的で鑑賞中ずっと緊張が続きました。潜入捜査が失敗するかもしれない不安が積み重なり、ジャックの焦りや決断がそのまま伝わってくるようでした。

 さらに、生物兵器の取引相手としてニーナ・マイヤーズが再登場する流れも、本作のサスペンスを一段と高めていたと思います。過去の因縁がここでつながる構造はシリーズならではで、視聴者としても強く意識を引き寄せられました。

 ウイルス散布の危機が迫るホテルのシーンは特に印象的で、わずかな隔たりの中でパニックが広がっていく緊張感が非常に強かったです。生物兵器という見えない恐怖に直面する瞬間の描写は丁寧で、息を止めて見入ってしまいました。

 また、大統領周囲のスキャンダルが複雑に絡み合い、状況をかえって悪化させていく皮肉な展開も作品の魅力だと感じました。権力の周辺で起きる判断の鈍りや、情報操作がさらなる混乱を呼び込む流れには、やるせなさが漂っていたと思います。

 CTU内の疑心暗鬼も物語のテンポを支えており、味方の中に裏切り者が潜んでいるのではないかという定番の構図が、今回も程よい緊張感を生み出していました。その一方で、突如差し挟まれる家庭問題や赤ん坊の話題など、どこか力の抜けた場面も「24」らしく、物語に少しの揺らぎを与えていたと感じます。

 物語後半の重要人物の行動が引き起こす混乱や、CTUの警備の甘さをつい指摘したくなる展開など、勢いのあるストーリーにいろいろな表情が並んでいくのも魅力でした。ライアン・シャペルの運命については特に胸が詰まり、シリーズとして避けられない犠牲の重さを感じました。

 全体として、テロとの駆け引きと大統領周辺の政治的な問題が二重に走る構成が良く、どのエピソードも緊張の糸が緩まないまま引き込まれました。24話を通して勢いが持続し、シリーズの中でも特に観応えのあるシーズンだったと感じます。

☆☆☆☆

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