映画【さよならくちびる】感想(ネタバレ):門脇麦×小松菜奈の歌声が光る青春映画

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●こんなお話

 解散が決定的のデュオが最後の全国ツアーをまわるうちに過去に何があったのかとかが判明していく話。

●感想

 門脇麦さんと小松菜奈さんが主人公を務めるこの作品は、彼女たちの歌声がまさに映画の核となっており、その歌唱シーンの数々はどれも強く印象に残ります。彼女たちの透明感あふれる声が画面に響き渡り、観る者の心をしっかりと掴んで離さない。歌声だけでも映画が成立していると言っても過言ではなく、その点だけでも大成功の作品だと感じました。

 冒頭のシーンでは、主人公がアパートを出て車に乗り込むまでの一連のカットが非常に印象的です。特に周囲の木々が風に揺れる様子を捉えた映像だけで、観る側に何かしらの引き込まれる感覚を与えており、物語が始まる前から自然と心がつかまれるような、不思議な魅力を感じさせました。その後の展開では、主人公たちが全国ツアーを行いながら、過去に起きた出来事が回想の形で少しずつ明らかになっていきます。この手法が物語に深みを与え、観客の興味を引き続ける効果を発揮しています。

 物語の中心には非常に緻密に描かれた三角関係が存在し、片思いの感情や互いの才能に対する嫉妬が張り詰めた空気を生み出しています。そのため、時に息苦しさを感じるほど繊細で複雑な人間模様が描かれており、それが映画全体の緊張感を高めています。歌詞やメロディーがこの作品では最も重要な要素となっており、印象深い楽曲の数々が感情表現を助け、まるで音楽そのものが物語を語っているかのような感覚を味わえました。

 全体的に前後の説明が非常に控えめで、淡々とした語り口が特徴的なため、好みが分かれる映画であることは否めません。しかし、その分120分間、まったく退屈することなく音楽と青春の葛藤を追体験できる作品に仕上がっています。音楽を軸にした青春ドラマとして、静かに深く心に響く映画でした。

☆☆☆

鑑賞日: 2019/11/24 DVD

監督塩田明彦 
脚本塩田明彦 
出演小松菜奈 
門脇麦 
成田凌 
篠山輝信 
松本まりか 
新谷ゆづみ 
日高麻鈴 
青柳尊哉 
松浦祐也 
篠原ゆき子 
マキタスポーツ 

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