映画【激怒】感想(ネタバレ):緊迫の立てこもり事件から全体主義社会への転換!新感覚ディストピア映画

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●こんなお話

 刑事がアメリカから帰ってきたら自警団が跋扈していて、ディストピアになっていたので激怒する話。

●感想

 主人公の刑事が飲み屋でひたすらビールを飲んでいるシーンと、立てこもり事件が同時進行で描かれています。最初、主人公は飲み屋でガラの悪い客と揉めて、いったんは土下座して謝るものの、堪忍袋の緒が切れて一気に暴力を振るう。やがて、その立てこもり事件の現場に主人公が乗り込み、犯人をぶん殴って確保するが、勢い余って犯人の母親が亡くなってしまう。

 これが問題となり、アメリカで「治療」と称して薬漬けにされる3年間が過ぎる。日本に戻ると、自分の知っていた街はすっかり様変わりし、消毒されているかのように「安心安全」を掲げる全体主義社会となっていて息苦しさを感じる。昔の知り合いも体制側に組み込まれていたり、主人公自身も監視されて行動の自由が制限されている。

 そんな中、社会の目を逃れてひっそりと暮らす仲間たちが迫害されていることを知り、さらに町内会長が権力を振りかざしてレイシストな言動を繰り返していることに激怒。彼らが主人公の隠れ家に突入してくるも、主人公は撃退して敵対する勢力を退治して物語はおしまい。

 頭を潰したり、自分の骨を突き刺したりするような激しいゴア描写や、不穏な音楽の演出は見どころでした。しかし全体的に話のテンポは悪く、終始退屈に感じられました。序盤の飲み屋での主人公の様子と引きこもりの青年が立てこもり事件を起こす流れが同じくらいの尺で描かれていて、やや鈍重でした。事件が終わってから急にニューヨークでの治療シーンに飛び、戻るとディストピアになっている設定は興味深いですが、主人公がずっと戸惑いながら異常な世界を生きるという展開はディストピアものとしてはよくあるパターンで新鮮味は薄かったです。

 バイオレンスやアクションシーンも派手さに欠け、特に巨漢のカタキ役がどう倒されるのか期待しましたが、あっさり決着してしまい物足りなかったです。主人公の過去や体制に反発する仲間たちも名前や顔がはっきりせず、彼らが一緒に戦う理由や絆が伝わりにくかったのも盛り上がりに欠けた原因だと思いました。

 全体としては約100分の上映時間がダラダラと感じられ、見終わった後に少しもったいなさを感じる映画でした。

☆☆

鑑賞日:2023/07/16 DVD

監督高橋ヨシキ 
脚本高橋ヨシキ 
出演川瀬陽太 
彩木あや 
小林竜樹 
奥野瑛太 
和田光沙 
松浦祐也 
森羅万象 
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