映画【シンクロナイズドモンスター】感想(ネタバレ):人間関係と逆転劇の魅力

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●こんなお話

 アメリカの田舎に帰ってきた主人公が酔っぱらって公園の砂場にいたら、どうやら韓国ソウルで大暴れしている怪獣が自分と同じ動きをしているのに気付いて戸惑う話。 

●感想

 都会での恋に破れた主人公は、失意のまま地元へ帰ってくる。そこで再会したのは幼馴染をはじめとする旧友たちだった。彼女は酒場で日々を過ごし、仲間たちと語らいながら心の拠り所を探していく。しかし次第に、親切に見えた幼馴染が支配的な言動を繰り返し、彼女はその関係に悩むことになる。物語の背景には怪獣と主人公がシンクロしているという独特な設定があり、彼女の行動や感情が怪獣の動きとして現れていく。

 物語の多くは酒場でのやり取りが中心で、派手なアクションや怪獣映画らしい盛り上がりはあまり描かれず。登場人物たちはそれぞれ癖が強く、主人公は飲んだくれ、元恋人は見下すような態度をとり、幼馴染は嫉妬深く、さらに新たに出会う若者は存在感が薄い。彼らとの交流は時に反発を生み、時に馴れ合いを見せながら進んでいく。

 やがて怪獣の存在は大きな影響を及ぼすようになる。主人公が転んだことで人が命を落とす出来事があり、その責任を突き付けられる場面もある。さらに韓国人からハングルを教わり、怪獣が地面に「ごめんなさい、二度としません」と書くシーンはとても新鮮で印象的でした。物語のルールが説明されないまま進むものの、終盤では意外性のある逆転が描かれ、強いカタルシスを感じる展開となっていました。

 人間関係の重苦しさが前面に出るため、軽やかなエンタメとは異なる味わいがありますが、その中でクライマックスの逆転や怪獣を通した独特の表現は強く印象に残ります。派手さよりも不穏な人間模様と新鮮なアイデアを楽しめる作品だったと感じました。

☆☆☆

鑑賞日: 2018/05/03 DVD

監督ナチョ・ビガロンド 
脚本ナチョ・ビガロンド
出演アン・ハサウェイ 
ジェイソン・サダイキス 
ダン・スティーヴンス

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