●こんなお話
トム・クルーズがミイラに追いかけまわされる話。
●感想
物語は古代エジプトから始まる。王位を狙った王女が呪いの力を使おうとするが、直前で捕らえられ、ミイラにされて封印されてしまう。
時代は現代。イラクで反乱軍と交戦中のアメリカ軍兵士である主人公が戦闘の末、偶然にも巨大な地下空間を発見。同行していた考古学者とともに内部に入ってみると、そこは墓ではなく、囚人を閉じ込めた牢獄であることがわかる。水銀で囲まれた不気味な棺があり、それを輸送することに。
軍の輸送機で空輸される途中、主人公の相棒が呪いにかかったような言動を見せ、乗員たちを襲い始める。さらに、飛行機が大量の鳥に激突されて制御不能になり、墜落寸前。考古学者だけをパラシュートで脱出させ、主人公は飛行機と共に墜落してしまう。
遺体安置所で目覚める主人公は、自分が死んでいたはずなのに生き返ったことに困惑。さらに、死んだはずの相棒が幻覚のように現れ、古代の王女が悪魔を復活させるために主人公の体を利用しようとしていると告げられる。
その後、墜落現場にやってきた人々が王女に襲われて次々とミイラ化。王女は力を吸収することで人間の姿に近づいていく。主人公も引き寄せられるように現場へ行き、王女と遭遇するが、襲ってきたミイラたちに追われて逃げ出す。
そこへ謎の組織の特殊部隊が現れ、主人公たちは麻酔で気絶させられる。目を覚ますと、研究施設のような場所で王女が監禁されており、博士から「この王女の目論見を阻止するには、主人公を殺す必要がある」と説明される。しかし、考古学者はそれに反発。
そんな中、王女に操られた研究員が彼女を解放し、施設は大混乱に。博士も人格が変わって暴れ出し、主人公と敵対する。ロンドンの地下鉄では再びミイラたちと戦闘に。追い詰められた中で、考古学者は命を落としてしまう。
クライマックスでは、王女に屈するかに見えた主人公が、自ら短剣で自分を刺し、悪魔の力をその身に取り込み逆転。王女をミイラへと戻し、死んだ考古学者を復活させる。しかしその代償として、自身は呪いを背負った存在となり、すべてを背負って旅立つ――。
冒頭からラッセル・クロウのナレーションで世界観や背景をセリフで語る構成で始まるが、その時点でやや勢いに欠け、テンポが悪くなってしまっていると思いました。
主人公はアメリカ軍人でありながら盗掘のようなこともしていて、120分を通して何を信じ、何を目的に動いているのかがはっきりせず。金が欲しいのか、遺跡を守りたいのか、それとも英雄になりたいのか、その軸が定まらないまま話が進むので、物語に共感しにくく、ひたすら謎の幻覚に翻弄されている様子ばかりが描かれていく感じでした。
ヒロインも最初は主人公がパラシュートを譲ってくれたことで好意を抱きますが、その後の主人公の行動――ヒロインを見捨てようとする流れなどが矛盾していて、感情移入がしにくかったです。
アクションシーンも暗がりが多く、何が起きているのか見えづらいのもマイナスで。ドクター・ジキルなど、ユニバース化を意識したキャラクターたちも登場しますが、物語本編にしっかりと絡まず、ひとつの映画としてまとまりに欠ける内容だったと思います。
アクション映画としても、ホラーとしても、ラブロマンスとしても中途半端で。ハリウッドのユニバース化戦略の弱点が顕著に表れた作品であり、大作であっても空回りしてしまうことがあるのだと、ある意味で勉強になる1本でした。
☆☆
鑑賞日: 2017/08/02 チネチッタ川崎 2018/03/27 Amazonプライム・ビデオ 2024/12/10 Amazonプライム・ビデオ
監督 | アレックス・カーツマン |
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脚本 | デヴィッド・コープ |
クリストファー・マッカリー | |
ディラン・カスマン |
出演 | トム・クルーズ |
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ソフィア・ブテラ | |
アナベル・ウォーリス | |
ジェイク・ジョンソン | |
ラッセル・クロウ |
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