映画【お嬢さん】感想(ネタバレ):視点転換が生む驚きと復讐劇

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●こんなお話

 日韓併合時代の華族に詐欺師たちが紛れ込んで、財産を狙うけども変態な男たちに女性たちが鉄槌を下そうと話。

●感想

 物語は侍女の視点を入れ替えながら進んでいく。最初は侍女の目線で描かれた出来事が、次に令嬢の目線で反復されると、同じ出来事でありながら意味合いが変わり、全く別の物語として浮かび上がってくる。そこに詐欺師や怪しげな叔父が絡み、愛情や欲望、そして裏切りが複雑に交錯する。第1部では舞台や登場人物が紹介され、物語の種が蒔かれる。第2部では時間を巻き戻して令嬢の過去や真実が明かされ、観客は最初に見たものを新しい意味で理解することになる。そして第3部では詐欺師の視点に移り、女性たちのしたたかな復讐劇が描かれる。

 映像美はパク・チャヌク監督らしく緻密で、シンメトリーな構図や横移動のカメラワーク、美術の細部まで計算されたビジュアルが印象的でした。侍女と令嬢、それぞれの目線で同じシーンが二度描かれる構成はとてもユニークで、視点が変わるだけで全く違う物語になる面白さを強く感じました。また、第2部で令嬢が叔父の前で官能小説を朗読するくだりや、幼少期の回想に挟まれるコメディ的要素は、観客の笑いを誘う軽快さがあり、とても楽しかったです。

 個人的には第2部が最も楽しめました。第1部で少し静かに思えた展開が、真実の開示とともに鮮やかにひっくり返され、ストーリーテリングの妙を味わうことができました。そして第3部で女性たちが仕掛ける復讐劇は痛快で、男たちが翻弄されていく姿に強いカタルシスを覚えました。登場人物同士の関係性が序盤で一気に説明されるため把握に少し苦労しましたが、それも含めて笑いあり緊張感ありの140分を堪能できました。美しくも大胆で、物語と映像の両面で楽しませてくれる作品だと思います。 

☆☆☆☆

鑑賞日: 2017/04/12 TOHOシネマズシャンテ

監督パク・チャヌク 
脚本チョン・ソギョン 
パク・チャヌク 
原作サラ・ウォーターズ 
出演キム・ミニ 
キム・テリ 
ハ・ジョンウ 
チョ・ジヌン 

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