●こんなお話
余命いくばくもない闇社会に生きる男の話。
●感想
主人公は、中国人の不法労働の斡旋をしたり。セネガル人の麻薬売買の世話をしたりと犯罪を行っていますが。悪人として観ることができませんでした。子ども達のため、むしろ仕事を真面目に取り組んでいるように思えました。それに、不慮の事故で死んだ人たちの声を聞くという霊能者としての仕事もしてるのには驚きました。
奥さんが躁鬱病で薬中と、相当なダメージを負っている女性ですが。子どものために一緒に住むことにしますが。その時の子どもたちの幸せそうなこと。ところが、奥さんは怪しいライトを浴びて「調子がいい」と言ったりして。主人公と観客(ボク)は、まだ病んでいるのだとわかります。それに、テンションがおかしかったりと危ないです。
自らが癌だとわかり、子ども達のために頑張る話ですが。決して美談や感動ものでなく。現実に生きる男を描いていきます。
主人公が寝てるときに見上げる天井に怪しい蝶々が張り付いていますが、どんどん増えていくのは不安か恐怖か。
頑張ろうとするのに、映画の宿命か。悪いことが次々と重なります。主人公が不法労働者のために買ったヒーターで、とんでもない事件が起きたり。世話をしていたセネガル人が警察に捕まったり。何でこんなに……。と観ているボクも落ち込みました。
いよいよ、母親は息子に折檻をして。子どもを連れて、また元の家に戻りますが。そこで母親が代わりになる世話をしていたセネガル人で、どんどん衰弱していく主人公と抱き合うシーンは静かな感動がありました。そして、見上げる天井の蝶々の姿。
出ずっぱりの主人公、ハビエル・バルデムの存在感で140分を退屈せず観ることができました。
☆☆☆☆
鑑賞日:2011/10/08 TOHOシネマズ南大沢
リンク
監督 | アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ |
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脚本 | アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ |
アルマンド・ボー | |
ニコラス・ヒアコボーネ |
出演 | ハビエル・バルデム |
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マリセル・アルバレス | |
エドゥアルド・フェルナンデス | |
ディアリァトゥ・ダフ | |
チェン・ツァイシェン |