●こんなお話
ブラジルのマフィアのボスが釈放されるけど、昔からの知り合いのヤクザが目の前で殺されたので、その殺したヤクザたちと戦う話。
●感想
8年前、ブラジリアン・マフィアのドン・カルロスは、日本でヤクザ組織・山城会を壊滅寸前まで追い詰めていた。その名は街に恐怖と伝説を同時に刻んでいた。
刑務所を出所したカルロスは、ある日、暴力的な夫から逃げ出した人妻・聡美を救う。彼女は躊躇なくカルロスの後を追い、共に行動を共にする決意を固める。一方で、8年前の抗争で銃弾を浴び廃人同然となった梶が、山城会から奪った一億円を手にカルロスの前に現れるが追手に撃たれて死亡する梶。カルロスは梶の舎弟を巻き込みながら、山城会への復讐計画を本格的に進めていく。
しかし山城会も黙ってはいなかった。凄腕の殺し屋、ギリヤーク兄弟を雇い、カルロスとその仲間を迎え撃つ。郊外の廃ビルで行われる金の引き渡し。そこでは、雨のように銃火が降り注ぎ、健二と晶夫が倒れる。カルロスは弟ギリヤークを倒すも自身も負傷するという緊迫の展開となる。
組織の幹部は一転、カルロスへの支払いに応じる旨を打電する。しかしこれを知ったギリヤークは、弟の仇を取るべく山城会を壊滅させ、カルロスを追い詰める。聡美も単なる同行者ではなく、自らの意志でこの渦中に踏み入れていくのだった。
迎えた再決戦。廃ビルの暗闇の中、カルロスとギリヤークが一騎打ちを繰り広げる。聡美は待ち受けるギリヤークに襲われ倒れるが、カルロスは冷静に敵を仕留め、勝利を収めておしまい。
物語の舞台は前作から8年後。セリフの中で軽く前作の人間関係が説明されるため、予備知識がなくても楽しめる内容でした。きうちかずひろ監督らしい渋さとスタイリッシュなガンアクションが詰め込まれており、100分間テンポよく展開するので、観ていて心地よく引き込まれます。
竹中直人さんはハイテンションな演技とは異なり、今回は抑えた渋い芝居で魅せています。二挺拳銃を手に戦う姿は、言葉にせずともその佇まいだけで強さを示すようでした。その一方で、強烈な印象を残すのがギリヤーク兄弟という殺し屋コンビです。内田裕也さんと大沢樹生さんが演じ、まるで漫画から飛び出したようなキャラクター。英語と日本語を交えた話し方の内田さんは特に面白く、もっと彼らを観ていたくなるほどでした。
主人公との最初の接触での銃撃戦や、クライマックスでの決戦は見応え十分で、アクション映画として満足度が高い作品です。ただし、敵対するヤクザ組織の描写にはやや拍子抜けする部分があり、主人公に対して狼狽してしまう様子には緊張感がもう少し欲しかったと感じることもありました。また、銃撃戦以外のドラマ、特にカルロスと聡美の関係性がもう少し描かれていれば、さらに深みのある作品になったと思います。
それでも、クライマックスは静かな暗闇の中で展開され、銃撃と心理戦の緊張感が心に残る1作でした。
☆☆☆☆
鑑賞日: 2016/01/13 DVD 2025/11/08 DVD
| 監督 | きうちかずひろ |
|---|---|
| 脚本 | きうちかずひろ |
| 出演 | 竹中直人 |
|---|---|
| 小泉今日子 | |
| 内田裕也 | |
| 大沢樹生 | |
| 岩尾正隆 | |
| 北村一輝 | |
| 山西道広 | |
| 宮崎光倫 | |
| 酒井伸泰 | |
| 緋田康人 | |
| マコ・イワマツ | |
| 成瀬正孝 |

