●こんなお話
凄腕のエンジニアがプロジェクトを成功させて記憶を消して大金を得る仕事をやってるけど、新しい仕事したら報酬はないわ命狙われるわで大変な話。
●感想
主人公はエンジニアとして、さまざまな企業から新商品の開発を請け負っています。しかし、彼の仕事は少し特殊で、依頼を終えた後は自分の記憶を消去し、その対価としてお金を受け取るだけの契約となっています。すべての記憶を失った状態で仕事を終えるという不思議な職業で、そんな彼の生活はどこかミステリアスな雰囲気に包まれていました。
ある日、知り合いの社長から三年間の記憶を消すという非常に大きな依頼が舞い込みます。大金に惹かれた主人公はその仕事を引き受けますが、目覚めた三年後、仕事は成功していたものの報酬は一切届いておらず、代わりに自分宛に送られてきたのは意味不明なガラクタ20個ばかり。途方に暮れる彼の前に、ヒロインである博士が現れます。
警察に連行されて尋問を受けるシーンでは、主人公がタバコを吸うと不意に消火装置が作動し、パニックに陥るというのもあったり。さらに、ガラクタの中に入っていた特殊なサングラスによって煙の中でも視界を確保し、見事逃走に成功するというスリリングな展開もありました。
主人公を裏切った社長は、主人公が死ぬはずだったのに逃げ延びたことに激怒し、主人公の恋人であるヒロインを監視カメラでマーク。彼女の行動を追いかけ、メッセージのやり取りを発見した社長は、ヒロインと主人公が会う場所へ偽物を送り込むものの、本物のヒロインが現れて二人は共に逃走します。
物語の中で明らかになるのは、ガラクタに見えた品々が未来を予知する装置の部品であり、それを使って送られてきていたということです。やがて主人公はそれらのマシンを破壊するため、社長のいる会社へと乗り込み、ガラクタを駆使しての激しい戦いの末に未来を予測する装置を爆破します。
大金が報酬のはずがガラクタ20個だったという最初の落胆から、それらが次々と活用されていく様子は非常に巧妙で楽しめました。未来が見えるという設定から、主人公は起こる出来事を先読みしながら次々と行動を起こしていきます。ご都合主義に思える場面も逆手に取っていて、たとえば指輪を取り出すとそれが泥棒に盗まれ、追いかけた先が次の目的地になるなど、細かい演出もよく練られていましたと思います。
しかしながら、記憶喪失の主人公が過去を探るストーリーと、未来を予測するコンピューターの破壊という二つの要素を同時に扱っているため、どちらのテーマも中途半端に感じられてしまいました。主人公の記憶が戻るきっかけも少々あっさりしていて、観ているうちに物語に入り込むのが難しい部分もありました。
アクションシーンに関しては、バイクチェイスや殴り合いの場面が用意されており、見応えのあるシーンもありますが、特に新鮮な印象はなく、どこか定番の域を出ない印象を受けました。
総じて、気軽に楽しめるアクション映画としては十分に面白く観られましたが、ジョン・ウー監督作品に期待される独特のスタイリッシュな演出や世界観が控えめで、その点が少し寂しく感じられました。
☆☆☆
鑑賞日: 2015/03/16 DVD 2023/07/15 U-NEXT
監督 | ジョン・ウー |
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脚本 | ディーン・ジョーギャリス |
原作 | フィリップ・K・ディック |
出演 | ベン・アフレック |
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アーロン・エッカート | |
ユマ・サーマン | |
ポール・ジアマッティ | |
コルム・フィオール | |
ジョー・モートン |