●こんなお話
1年3組の学生さんたちが誰もいないはずの隣の4組から100パーおかしい音とかが聞こえてくるけど「4組はガス事故で死んだはずだぞ」と4組の謎に迫っていく話。
●感想
学生たちが「こっくりさん」や学校の怪談を話しながら体験していく日常の中、授業中に遠くに不審な人影が立っていたり、突然奇妙な声が聞こえてきたりと、じわじわと怖さがにじみ出してくるホラー展開。
一方で、母親の日記から昭和63年に起きた事件を探るために学校を訪れる娘。そして、やらせの幽霊映像を撮ってネットにアップしようとしていた少年たちとその妹の4人組が登場。調子に乗っていた彼らも、やがて本物の幽霊に襲われていくという、3つのストーリーが交互に進行していく構成。
序盤から全開の恐怖演出で、観ている側にかなりのストレスを与えてくれました。無音になって登場人物の息遣いだけが響く瞬間や、絶対に見てはいけないものを見てしまう場面、ふと見上げた先に“何か”がいる恐怖……そうした瞬間の連発に、緊張しすぎて腹筋に力が入ってしまうほどでした。
幽霊の実体化という難しい演出も、音響の効果で絶妙な怖さに仕上がっていて、登場の仕方にも驚かされ。まさかそんな場所から!? と意表を突かれる連続で、しっかりと怖がらせてくれます。
ただ、3つのストーリーが1つにまとまってネタ明かしが始まってから、物語のテンポが一気に失速してしまうと感じました。誰もいない放送室で延々と語りが続き、まるで説明台詞を聞かされているような印象に。しかもその場に誰もいないことに対してツッコミどころもあり、説得力が弱かったです。
終盤では、画面が歪んだような映像とともに、女の子の高笑いが長く続き、「いつまでこれを聞かされるのか」と失笑してしまいそうになるほどでした。さらに、途中でフェードアウトしたネット配信を狙っていた若者たちが、なぜか最後に再登場。彼らと妹との関係性も中途半端に放置され、結局どうなったのかが分からなかったのが残念。
全体として、序盤から中盤までの恐怖演出はかなりのクオリティで、ホラー好きなら満足できるはずで。ただし、クライマックスで失速し、物語の全体像や人物の関係性がわかりにくい点が足を引っ張ってしまった印象。主人公が誰なのかも曖昧で、惜しい出来の一本でした。
☆☆☆
鑑賞日: 2014/05/23 TOHOシネマズ南大沢
監督 | 落合正幸 |
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原作 | 常光徹 |
出演 | 小西彩乃 |
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山邊未夢 | |
新井ひとみ | |
中江友梨 | |
庄司芽生 | |
武田航平 | |
葉山奨之 | |
石橋杏奈 |