●こんなお話
弁護士や探偵やが麻薬組織と戦う話。
●感想
弁護士である主人公が、化学工場の社長から訴訟を起こされ、その弁護を引き受けるところから始まります。この訴訟の相手方は、環境破壊に反対する市民団体であり、そのリーダーである女性と、彼女のいとこに主人公は出会います。そして、いとこの女性に恋心を抱くように。
主人公は、友人であり武器の売買などを行っているブローカーに協力を求め、訴訟相手であるリーダーの隣に引っ越して情報を探るよう依頼します。ブローカーは資産家のふりをして彼女に接近しますが、やがて彼自身もリーダーのことを本気で好きになってしまいます。
一方、主人公はさらに探偵にも依頼をし、リーダーの家に盗聴器を仕掛けるよう命じます。しかし、盗聴器の設置に忍び込んだ探偵とブローカーが家の中で鉢合わせしてしまい、思わぬ乱闘が始まります。
その後、主人公とブローカーはそれぞれ恋愛関係を進展させようとデートを重ね、互いに良い雰囲気になりますが、探偵が真実を暴露し、すべてが主人公たちの策略であったことが明らかになります。これによって恋愛関係は破断。
物語は終盤に入り、探偵とブローカーが麻薬工場に潜入するという展開になりますが、ブローカーだけが捕まり、窮地に陥ります。そこで、主人公と探偵、いとこの3人が麻薬工場へ乗り込み、激しい戦いの末、敵をすべて退けておしまい。
本作は、ラブストーリーの要素を色濃く含んでおり、ジャッキー・チェン演じる主人公が恋愛に積極的にアプローチしていく姿勢には、ある種の爽快さすら感じます。とはいえ、法廷で愛を告白するという行動は、弁護士としては明らかに規律を逸脱しており、倫理的には疑問が残ります。
物語の大半は、恋愛ドラマともいえる軽快な展開が続きますが、終盤30分になると一転して、環境問題と犯罪組織との激しい対決へとシフトしていきます。ジャッキー・チェン、サモ・ハン・キンポー、ユン・ピョウの3人によるアクションシーンが続く中、物語そのものへの共感はやや薄いものの、彼らのバトルは見応えがあります。
特にアクションシーンの完成度は高く、怪我の心配をしてしまうほどのハードなスタントの連続でした。クライマックスでは、ベニー・ユキーデとの一騎打ちが描かれ、その格闘シーンは本作のハイライトとも言える出来栄えです。ガラスを割りながら壮絶にやられていく敵役、細い足場の上で側宙を決めるユン・ピョウ、無表情で迫る眉毛のないベニー・ユキーデ、そしてその光景を見て青ざめるサモ・ハン。これらの演出はすべて、ジャッキー映画の魅力が凝縮された素晴らしいシーンであり、本作の価値を大きく高めています。
全体として、本作はアクション映画としては非常に満足度の高い一作であり、ラブストーリー要素に対して抵抗がなければ、より楽しめる構成となっております。
☆☆☆
鑑賞日:2011/09/25 DVD 2024/08/30 Amazonプライム・ビデオ
監督 | サモ・ハン・キンポー |
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脚本 | シートゥ・チャホン |
出演 | ジャッキー・チェン |
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サモ・ハン・キンポー | |
ユン・ピョウ | |
ディニー・イップ | |
クリスタル・コオ | |
ユン・ワー | |
ベニー・ユキーデ |