●こんなお話
殺し屋が自分が殺した相手の幽霊に悩まされて除霊しようと頑張る話。
●感想
古びたクリーニング店では、表向きは普通の洗濯屋として営業しながら、裏では殺し屋稼業に関わる死体処理が行われていた。店主アーグーは裏社会と繋がりを持ち、店に出入りする無口な青年は、名前すら与えられていない殺し屋として働いている。彼は依頼を受けて標的を殺害し、その遺体を店へ運び込む。店では従業員たちが慣れた手つきで血まみれの服を洗い、死体を処理していくという日常が続いていた。
しかし青年には、自分が殺した相手の幽霊が見えるという体質があった。亡霊たちが現れ、こちらを見つめてくる。青年は精神的には少しずつ追い詰められていく。
そんな中、青年は霊媒師リンと出会う。リンは死者の魂と会話できる不思議な能力を持つ女性で、青年の周囲にいる幽霊たちの存在にもすぐ気づく。青年は彼女へ除霊を依頼し、二人は共に幽霊たちの問題を解決していくことになる。
リンは霊の言葉を聞き取り、青年と共にその過去を調べ始める。さらに高齢者夫婦の幽霊が現れた際には、二人は夫婦の息子のもとを訪ねる。老夫婦は息子への執着を抱えており、生前に積み重なった感情が今も消えていなかった。そして最終的に、老人の夫の幽霊が息子を射殺するという事件が起きる。
その頃、街では不可解な連続殺人事件が発生していた。被害者たちは、主人公たちが接触した人物ばかりだった。警察は捜査を進め、事件を追う刑事たちも動き出す。
やがて刑事たちはクリーニング店の店主アーグーへ接触する。実はアーグーは元精神科医だった過去を持っており、現在は裏社会と結びつきながらクリーニング店を経営していた。アーグーはリンとも接触しており、どこか裏で繋がっているような不穏さを漂わせる。
リンは幽霊の願いを叶えるため、青年を連れて“殺してほしい相手”のもとへ向かう。しかし青年は直前になって殺害を思いとどまる。ところが、その人物は直後に謎の存在によって殺害されてしまう。しかも被害者は事件を追っていた刑事だった。
物語が進むにつれて、リンが本当に霊媒師なのか疑念が生まれていく。やがて、これまでリンが「幽霊の声」として語っていたものの一部が嘘だったことが明らかになる。実際にはアーグーが邪魔者を排除するため、リンを利用して青年へ殺人を誘導していた。
仲間の刑事を殺された女性刑事は、真相を追ってアーグーの店へ辿り着く。するとアーグーは突如として襲いかかる。そこへ青年も駆けつけ、アーグーともみ合いになる中でリンも重傷を負う。
最終的にアーグーは女性刑事によって射殺される。事件は決着を迎えるが、青年自身も殺人に関わっていたことで逮捕され、刑務所へ収監されることになる。
ラストでは、リンが刑務所へ面会に訪れておしまい。
幽霊コメディとしてかなり楽しめる作品でした。幽霊たちの未練や願いを聞き、それを解決していく構成が連続ドラマのようでもあり、1話ごとに違う怪談を見ているような面白さがあります。ホラーでありながら全体に漂うゆるい空気感も独特で、台湾映画らしい不思議なテンポが癖になりました。
主人公の無口な殺し屋と、どこか掴みどころのないリンの組み合わせも魅力的ですし、出演している女優二人が非常に可愛らしく、画面の雰囲気を柔らかくしていた印象です。
前半は幽霊たちの事情を追っていく流れが面白く、ブラックユーモアと切なさが混ざっていて印象に残りました。ただ後半で真相が明らかになっていく展開からは、やや尻すぼみに感じました。
特にアーグーがなぜ殺し屋稼業を続けていたのか、主人公との関係がどう始まったのかなど、映画が始まる以前の背景が見えづらく、物語へ入り込みにくい部分もありました。終盤の種明かしも、ぼんやり見ていると理解が追いつきにくく、真相の整理に少し時間が必要な作品だと思います。
また、アクションシーンでは無音で殴り合うだけで、それが独特な雰囲気には繋がっているものの、迫力という意味では少し物足りなさもありました。殺し屋映画として期待すると肩透かしを受けるかもしれませんが、幽霊ホラーとブラックコメディが混ざった台湾映画として見ると、かなり個性的な一本だったと思います。
☆☆☆
鑑賞日:2026/05/17 DVD
| 監督 | リ・チュウ |
|---|---|
| 脚色 | リ・チュウ |
| チェン・ユーシュン |
| 出演 | ジョセフ・チャン |
|---|---|
| ソニア・スイ | |
| レジーナ・ワン | |
| ヤオ・ヤンヤン | |
| チャン・シャオフアイ | |
| ペギー・ツァン | |
| ガオ・モンジェ |

