映画【恋の門】感想(ネタバレ):松田龍平が駆け抜ける個性爆発コメディの魅力を徹底解説

koinomon
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●こんなお話

 漫画家たちのドタバタの話。

●感想

 テンションの高い松田龍平さんと、感情の振れ幅が大きく魅力的な酒井若菜さんを中心に、個性的で濃いキャラクターたちが次々に登場して、軽やかなテンポで物語が転がっていくコメディ映画。登場人物たちのどこか常軌を逸した言動や、真面目にふざけているような言動が積み重なっていき、笑いが自然と生まれる構成になっています。

 物語は、オタク趣味をもつ腐女子と松田龍平さん演じる漫画好きな男が出会い、はじめは恋愛映画として進んでいくように見せかけますが、途中から漫画の賞をめぐる展開になり、ラストではまさかのコスプレランニングへと突入。ジャンルが次々と変化するかのような流れは、観ていて予測がつかず、どこに向かうのか楽しみながら引き込まれました。

 一見、物語の軸があいまいに感じられる部分もあるのですが、それを補って余りあるほどのキャラクターの濃さや、俳優陣の演技の熱量が画面から伝わってきて、細かい理屈抜きにその場その場の面白さに身を委ねられる作品だと思います。何より、ひとつのシーンの中に多くのキャストが登場し、松尾スズキさん周辺の俳優が次々に現れるので、誰が出ているのか発見していく楽しさもありました。

 また、思いのほかキスシーンの演出が丁寧で、カメラワークや照明、間の取り方なども含めて、ちょっとドキッとさせられるような仕上がりになっていたのも印象的でした。全体的にユーモアの中に、ちょっとした色気や生活感が差し込まれているバランスが心地よかったです。

 ストーリーを追うというよりは、キャラクターたちの会話や行動、シチュエーションごとのテンションを楽しむ映画だと思います。そのため、ある種の場面ごとのライブ感のようなものが前面に出ており、脚本の流れやテーマの明確さよりも、笑いの瞬発力や人物の魅力を味わう時間が続いていくようでした。

 物語の終着点がどこなのかという点ではやや掴みにくい部分もありますが、逆にその曖昧さこそがこの作品の自由さであり、演者の掛け合いや空気感を楽しむための舞台装置としてうまく機能していたようにも感じます。

 全体として、クセのあるキャラクターたちが真剣にふざけながら走り抜けていく姿が微笑ましく、肩の力を抜いて楽しむにはぴったりの一本でした。

☆☆☆

鑑賞日:2013/11/26 Hulu

監督松尾スズキ 
脚本松尾スズキ 
原作羽生生純 
出演松田龍平 
酒井若菜 
松尾スズキ 
忌野清志郎 
小島聖 
塚本晋也 
小日向文世 
大竹まこと 
平泉成 
大竹しのぶ 
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