●こんなお話
老人介護施設で極道がいろいろ群がってくる話。
●感想
ヤクザが介護をするという設定はとても面白くテレビ版も楽しく見ていましたが、この映画版だと介護についてもヤクザものとしてもどっちつかずな印象で残念でした。
お金がない格差社会の問題や受け入れ先のない高齢者などの社会問題を描こうとしているのは興味深く見れて期待が高まるものでした。
序盤に主人公が世話になるヤクザからシノギとして与えられる介護施設が酷いところで、ヘルパーが1人しかおらず老人たちの介護ができておらず最悪な場所。実際にそういうところがあるとは思うものでよかったです。
が、主人公がその町で出会うシングルマザーとの交流で、介護施設をまともなものにすると決意するのもわかります。ところが映画を見ていくうちに、この主人公、一切ヘルパーとして働いてないのがわかります。ひたすら、怒鳴ってるだけ。
物語の展開も、特にクライマックスでの入札会場をぶち壊そうとする主人公。そこから警察からもヤクザからも狙われる。ここで主人公は介護施設にヤクザの手が伸びないように自分から飛び込んでいきますが。ここでピンチを救出する弁護士。何で、ヤクザは撤退したのかわかりませんでした。あの場所だったら、彼らがヤクザを脅す材料はないはずなので暴力で屈服させることができるはずだと思いました。その前の入札会場での乱闘も何で親分は「絶対に生きて帰すんじゃねえ」とすごんでいたのに、急に魂抜かれたようになったのかとかわかりませんでした。
クライマックスで敵に向かって歩く主人公とすれ違う傘を持った老人のカットとか何の意味があったのか読み取れませんでした。何故かクライマックスでのカットバックで渚のシンドバッドを歌っていた老人がその傘の老人を見つめるカットが差し込まれていたり。
主人公の成長もわかりずらく、冒頭で駆け抜けていた主人公が何故エピローグで警官に追われてたのを立ち止まり振り向いて笑顔になったのか? 逃げることから立ち向かうことを描いていたのか? 主人公の成長がわかりずらいので、エピローグも感動が薄かったです。
ヤクザものとしてもヤクザの描写が中途半端なのが残念ですし、介護問題もどっかいってしまって一体何の話だったのかがわからくなってしまって130分がちょっと長く感じてしまった映画でした。
☆☆☆
鑑賞日:2012/11/15 TOHOシネマズ南大沢
監督 | 西谷弘 |
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脚本 | 池上純哉 |
出演 | 草なぎ剛 |
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安田成美 | |
夏帆 | |
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香川照之 | |
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