●こんなお話
ビンラディンを見つけて暗殺するまで頑張るアメリカ人たちの話。
●感想
9.11のテロから始まり、ビン・ラディンを探すCIAの動きが描かれていく。冒頭から拷問シーンが長く続き、CIAが関係者から情報を引き出そうと必死になるところから始まる。友人の捜査官が情報を掴んだと思ったら、まさかの自爆テロで命を落とすなど、緊張感が常に漂っている。
街中の電話通信の微細な情報から相手を特定しようとしたり、ビン・ラディンがいるとされるパキスタンの豪邸を突き止めたものの、政治家たちは慎重すぎて動かない。なかなか作戦が進まない中、主人公は確信を持ち続け、ついに強行突破でパキスタン領内の豪邸への襲撃作戦が実行される。そしてビン・ラディンは殺され、物語はおしまい。
捜査ものの王道のような構成で、点と点がつながっていき、ビン・ラディンという巨大な的にたどり着くまでのプロセスが丁寧に描かれていて面白かったです。2時間半という長さもまったく苦にならず、緊張感ある映像に引き込まれました。
フィクションとはいえ、CIAの裏側のやり方や、拷問、買収、ヒューマンエラーなどの現実味ある描写が満載で。税金でランボルギーニを買って情報を得るなんて展開もあって、「こんな世界が本当にあるのか」と驚かされました。
要塞のような家を見つけても決定的証拠がない中で、時間だけが過ぎていく。上司からの理解も得られず、主人公はずっと孤独で歯がゆい立場。
クライマックスは、襲撃作戦が映し出される約30分間。暗視ゴーグルの映像を使って真っ暗な屋敷の中を特殊部隊が進む場面は、音楽が一切ないのに圧倒的な緊張感がありました。銃声が響くたびに心臓が跳ねるような迫力。まさに息を呑む瞬間の連続でした。
そしてビン・ラディンを倒した後、復讐をモチベーションにしていた主人公が誰もいない輸送機の中で泣く姿が印象的。目的を果たしたその先に、何も残らなかったという虚無感が強く残るエンディングでした。
主人公があまり動かず、周囲の捜査官たちが事件を進めていくので、どこか傍観者のようにも感じたりもしましたが、それでも緊迫感とリアリティに溢れた見応えある作品でした。
☆☆☆☆
鑑賞日:2013/02/12 TOHOシネマズ南大沢 2024/01/26 Hulu
監督 | キャスリン・ビグロー |
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脚本 | マーク・ボール |
出演 | ジェシカ・チャスティン |
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ジェイソン・クラーク | |
ジョエル・エドガートン | |
マーク・ストロング | |
クリス・プラット | |
カイル・チャンドラー | |
テイラー・キニー | |
マーク・デュプラス | |
フランク・グリロ |