●こんなお話
安倍晋三元首相の政治家としての姿勢とその背景を検証するドキュメンタリー映画。
●感想
映画は、安倍晋三の政治的背景と生い立ちに焦点を当てる内容となっている。安倍は母方の祖父である岸信介の影響を受け、政治家としての道を歩むことになる。岸は「昭和の妖怪」と称される人物で、政財界を巧みに操る力を持つ実力者。安倍は祖父の教えを胸に、前のめりな政治姿勢を取り、数々の政策を実行していく。
本作では、安倍政権下での政治や行政の状況、選挙戦術、そして戦争ができる国を目指す動きといった政治の裏側に鋭く切り込んでいる。また、ブラックユーモアや風刺的なアニメ表現も交えつつ、安倍晋三が日本に残した影響やその功罪を検証する作りとなっていました。映画は政治家としての安倍の姿を再検証すると同時に、現代日本の政治や社会の構造を浮き彫りになっていきます。
全編を通して、祖父から受け継いだ価値観がどのように彼の政策や言動に影響を与えたかが丁寧に描かれており、政策決定の裏側や政治家としての判断の重みも感じ取れるようになっていると思いました。政治の現実を映し出す映像の端々に、現代の日本社会との関連性を読み取ることができる点も見どころ。
本作で、特に興味深かったのは、山本太郎議員が安倍首相に対して地元での暴力事件について事務所スタッフの関与について質問する場面でした。また、官僚たちの忖度や選挙戦略の描写なども、政治の現実を理解するうえで参考になりました。
一方で、映画全体としては反安倍首相目線で構成されており、政権批判やネガティブな側面が強調されている印象を受けました。そのため、もし視点を変えた作品、あるいは別の政治家や政党の視点で制作された映画と比較することができれば、より幅広い政治理解につながるかもしれません。とはいえ、現代日本の政治状況や歴史的背景を映像として整理しつつ、政治家の影響力を視覚的に示す手法は非常にわかりやすく、学びの多い作品であると感じました。
☆☆☆
鑑賞日:2025/10/15 U-NEXT
| 監督 | 内山雄人 |
|---|---|
| 企画 | 河村光庸 |
| 企画プロデューサー | 古賀茂明 |
| アニメーション | べんぴねこ |

