●こんなお話
チンピラからヤクザの幹部まで成り上がって、足を洗うけど生きてくのが辛い日本社会の話。
●感想
綺麗な映像に重厚な音楽とVシネマより格段の予算が使われた豪華な見た目だけでもすごかったです。
前半から中盤までは典型的なヤクザ映画をそのまんまで主人公がどんどんと成り上がって、対立する組織とぶつかっていくまで。ここまではジャンル映画的な面白さがあって興味深く見ることができました。それでもテンポが悪くて鈍重に感じて退屈でした。やたらと工業地帯が映ったりと藤井監督の【デイアンドナイト】の風力発電みたいなのを思い出してしまいました。
中盤からはこの映画が本当に描きたい方向なのか、ヤクザが生活苦しくて足を洗ってもネットでさらされて生活が崩壊していくというのをじっくりと見せていきます。
主人公が出所して関係者に1人ずつ会って現在の様子を見ていくという構成も退屈だし、そこで描かれるのもステレオタイプなものにしか見えずに新鮮さとかも感じられず。誰にも感情移入できなかったです。主人公がヤクザだとわかって関係者たちが仕事失ったり家族がいなくなったりとかの描写もヒソヒソ噂話をする周りの人たちとか「困るよ~きみ」みたいな上司に呼び出されてとかも、今どきこんな描写あるのかというわかりやすさ重視の人間の描かれ方で見ていられなかったです。
ヤクザの幹部とか抗争とかの役者さんより後半の若者たち半グレたちとかの描き方とかは、あまり見たことないので興味深く見ることができました。ヤクザに会いに行くのにスマホを構えたり、腕っぷしがよければ上に立てて経営とかもできるんだとか新鮮でした。そのため主人公が可愛がっていた子供が大人になってからの行動、描き方は魅力的でラストシーンの台詞とかはじーんとなれるものでよかったです。
舘ひろしさんの親分も普通のゴルフ好きの優しいおじいさん感いっぱいで全く持ってカリスマ性ある親分に見えなかったです。ガンに侵されて余命いくばくもない状態になったときのかすれ声の舘ひろしさんはよかったです。
ヤクザになるのも大変なんだなと勉強になれる映画でした。
☆☆
鑑賞日:2021/02/10 シネマサンシャイン平和島
監督 | 藤井道人 |
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脚本 | 藤井道人 |
出演 | 綾野剛 |
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舘ひろし | |
尾野真千子 | |
北村有起哉 | |
市原隼人 | |
磯村勇斗 | |
菅田俊 | |
康すおん | |
二ノ宮隆太郎 | |
駿河太郎 | |
岩松了 | |
豊原功補 | |
寺島しのぶ |