●こんなお話
1930年代から第二次大戦終戦までのイップ・マンの話。
●感想
1930年代の中国広東省・佛山で、詠春拳の達人として名を知られるイップ・マンは、妻と幼い息子と共に穏やかな日々を送りながらも、道場破りとして現れる武術家たちを退け、その実力と人格で街の人々から深い尊敬を集めている。商人や警官、他流派の武術家とも交流を持ち、争いを好まない紳士的な態度で知られていたイップ・マンだが、1937年に日中戦争が勃発すると、その生活は一変し、日本軍が佛山を占領したことで自宅は司令部として没収され、家族は住む場所を失い、食べる米にも困る極貧生活へと追い込まれていく。
生き延びるためにイップ・マンは職を探し、石炭運びなどの重労働に従事するが、誇り高い武術家としての尊厳は失われていない。そんな中、日本軍が「武術で勝てば米を与える」という形で中国人武術家たちを集めるようになり、かつての知人である武術家が挑戦するが、日本兵に射殺されるという悲劇が起こり、イップ・マンの怒りは頂点に達する。
日本軍の将校で空手の名手とされる三浦は、イップ・マンの実力に強い関心を抱き、日本兵に中国武術を教えるよう迫るが、イップ・マンは自国の武術を日本軍に差し出すことを拒み、その態度が日本軍の反感を買うことになる。三浦は武術と名誉を賭けた一騎打ちを望み、イップ・マンとの対決は避けられないものとなっていく。
その一方で、戦乱に乗じて荒れ始めた街では、かつての道場破りが山賊まがいの行為を繰り返し、工場の労働者たちが脅かされるようになるため、イップ・マンは彼らに武術を教えて自衛できるよう導き、暴力に屈しないための力を授けていく。
やがてイップ・マンは家族と仲間、そして佛山の人々の誇りを守るために三浦との決戦に臨み、詠春拳と空手が激しくぶつかり合う死闘の末に勝利を収めるが、その直後に日本軍の銃撃を受けて負傷してしまい、仲間に救い出される。戦争が終わった後、イップ・マンは新たな人生を求めて香港へ渡り、そこで詠春拳を広めていくことがテロップで示され、彼の伝説のその後が示されておしまい。
ドニー・イェンさん演じるイップ・マンが、次々と強敵を打ち倒していく展開はまるで漫画のようで、とても熱量が高く楽しめました。序盤の他流派との手合わせから、日中戦争を背景にした日本軍との対決へと物語がシフトしていく流れも自然で、主人公の立場がどんどん過酷になっていくのがよく伝わってきます。
アクションシーンはどれも見応えがあり、特に日本兵10人を相手にする場面での関節技や連続攻撃は迫力があり、観ていて息をのむほどでした。一方で、工場労働者に武術を教えて集団で戦う流れは少し唐突に感じられ、物語全体とのつながりがやや弱い印象も受けました。
クライマックス後にすぐテロップで締めくくられる構成は余韻が少なく、もう少し主人公のその後を描いてほしい気持ちもありましたが、それでもイップ・マンという人物の誇りと強さがしっかり伝わる作品として満足感は高かったです。
☆☆☆☆
鑑賞日:2011/03/11 新宿武蔵野館 2020/07/16 Blu-ray 2026/01/10 U-NEXT
| 監督 | ウィルソン・イップ |
|---|---|
| アクション監督 | サモ・ハン・キンポー |
| 脚本 | エドモンド・ウォン |
| 出演 | ドニー・イェン |
|---|---|
| サイモン・ヤム | |
| 池内博之 | |
| リン・ホン | |
| ゴードン・ラム | |
| ルイス・ファン |

