映画【罪人たち】感想(ネタバレ):音楽酒場が戦場になる禁酒法時代ホラー

Sinners
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●こんなお話

 1930年代、アメリカ南部の田舎町で、双子の兄弟が開いたダンスホールで大変なことに遭う話。

●感想

 双子の兄弟であるイライジャ“スモーク”・ムーアとエリアス“スタック”・ムーアは、シカゴで裏社会と関わりながら資金を得た後、生まれ故郷であるアメリカ南部の町へ戻ってくる。二人はかつて製材所として使われていた建物を購入し、禁酒法時代にもかかわらず酒と音楽を提供するジューク・ジョイントを開業し、地元の黒人コミュニティが集える場所を作ろうと計画する。準備には若いいとこのサミー、老練なピアニストのデルタ・スリム、店を切り盛りするグレースとボー・チャウ夫妻が加わり、スモークの妻アニーも料理担当として店に立つ。仲間たちの協力によって開店準備は順調に進み、店は地域の期待を背負ってオープンの日を迎える。

 開店初日の夜、店内には多くの客が集まり、酒とブルースの演奏が鳴り響く中、祝祭的な空気が広がる。しかしその最中、場の空気とは明らかに異質な来訪者たちが現れ、店の外で不穏な行動を取り始める。やがて彼らの正体が吸血鬼であることが判明し、店内は混乱に陥る。吸血鬼たちは招かれなければ建物に入れないという制約を持ちながらも、言葉巧みに人間を誘惑。次々と犠牲者を生み出していく。噛まれた人間は意識を保ったまま吸血鬼側の理屈を語り、仲間を裏切る存在へと変わっていく。

 スモークとスタックは仲間たちと共に銀の弾丸や聖水を用いて応戦し、夜明けまで生き延びるための戦いを選ぶ。店は即席の要塞と化し、外から迫る吸血鬼と内側で吸血鬼がいるのではないかと疑心暗鬼になったりする。次第に犠牲者は増え、音楽と酒の場であった空間は、生き残りをかけた戦場へと変貌していく。夜明けまで持ちこたえることを目指し、最後まで抵抗を続けていく。


 中盤までは1930年代のアメリカ南部における黒人コミュニティの暮らしや、禁酒法時代ならではの裏社会の空気が丁寧に描かれており、その世界観を眺めているだけでも十分に楽しめました。美術や衣装、酒場の内装に至るまで作り込みが細かく、時代劇としての見応えも強かったです。

 物語が中盤から一気にサバイバルホラー、そして吸血鬼映画へと転じていく構成には意外性があり、ジャンルが切り替わる瞬間の勢いは印象に残りました。画面サイズが変化する演出も含めて、映画としての挑戦的な姿勢を感じられた点は好印象でした。

 特に印象に残ったのは、アジア人夫妻の妻が次第にハイテンションになっていく場面で、緊張感の中に妙な高揚感が混じる独特の空気が楽しかったです。一方で上映時間が約140分近くと長めなため、物語の方向性を掴むまでに集中力を要する部分もあり、展開についていくのが少し大変に感じる場面もありました。

 それでも、音楽映画としての魅力とホラー映画としての要素を大胆に融合させた作品であり、一般的な吸血鬼映画とは異なる切り口を楽しめる一本だったと思います。

☆☆☆

鑑賞日:2026/02/02 U-NEXT

監督ライアン・クーグラー 
脚本ライアン・クーグラー 
出演マイケル・B・ジョーダン 
ヘイリー・スタインフェルド 
マイルズ・ケイトン 
ジャック・オコンネル 
ウンミ・モサク 
ジェイミー・ローソン 
オマー・ベンソン・ミラー 
デルロイ・リンドー 
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