映画【猿の惑星 聖戦記(グレート・ウォー)】感想(ネタバレ):復讐と自由を求めて──猿の王シーザーが歩む壮絶な物語

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●こんなお話

 エイプたちと人間が戦っている世界で主人公の家族が殺されたので人間にリベンジする話。

●感想

 物語は、猿のアジトを襲撃してきた人間たちを撃退し、捕虜となっていた人間を解放する場面から始まる。猿たちはこのまま人間の支配が広がることを恐れ、拠点を移すべきかどうか議論を重ねている最中だった。

 そこに人間の襲撃部隊が再び現れ、主人公である猿・シーザーの家族が殺されてしまう。シーザーは怒りと復讐心に突き動かされて、単身で人間の基地に乗り込もうとするが、仲間の猿たちが同行し、旅が始まる。

 道中では、言葉を話せない人間の少女との出会いや、かつて動物園で人間に飼われていた猿との交流を経て、ついに人間たちが築いた基地にたどり着く。そこは猿たちを収容・強制労働させる収容所だった。

 シーザーは捕まり、食料もほとんど与えられずに苦しむが、仲間の猿たちが地下道から潜入し、脱走計画を進行させていく。やがて大脱走が実行されるが、タイミングを同じくして人間同士の別の軍隊が襲撃を開始。基地は混乱に陥り、猿たちは銃撃の中を必死に逃げる。

 クライマックスでは、シーザーが基地を爆破し、その爆風と雪崩によって人間の部隊は壊滅。猿たちは旅を続ける道を選び、物語はおしまい。

 映像面では、完全に猿たちの感情や視点に入り込ませる力があり、もはや“CGが凄い”というレベルを超えて、“リアルに猿が演技している”かのように思わせるクオリティ。人間の役者がほとんど出てこないにもかかわらず物語が成立しているのは見事というしかないです。

 ただ、ストーリー面ではいくつか引っかかる点も多かったです。家族を殺されたシーザーが復讐のために旅に出る前半はロードムービーとして描かれ、そこに少女との出会いや別れが挿入されます。一方で後半は強制収容所を舞台にした脱獄劇へと移行していく。設定としては『大脱走』のような構成を意識しているのかもしれないが、脱獄に至る展開は予想以上に簡単で、警備の緩さに「これで今まで誰も逃げなかったのか」と思ってしまうような作りになっていました。

 また、人間たちの争いもわずかなシーンで終わり、戦争映画としての迫力や駆け引きはあまり感じられなかったです。最終的に自然災害によってすべてが解決されるという展開も、現実感より神話のような運命論に寄りすぎていて、観ている側としては少し戸惑いが残りました。

 猿たちと行動を共にする少女の存在も、彼女が象徴的なキャラクターなのか、それとも実際の戦力なのかが曖昧で、ただ場面に流されているようにも感じました。忍び込むのも簡単すぎるし、すぐに立ち去れてしまうなど、リアリティラインが曖昧すぎてどう感情を乗せればいいのか悩んでしまいます。

 馬で移動しながら出会いや別れを経験する前半のロードムービー要素と、後半の脱獄&戦争パートを猿たちが演じているという構成はユニークではあるものの、「この作品は何を描きたいのか」という核心に迫れないまま進んでしまい、気づけば140分が経過していた、という印象が強かったです。

☆☆☆

観賞日: 2017/10/23 TOHOシネマズ川崎 2024/04/20 Disney+

監督マット・リーヴス 
脚本マーク・ボンバック 
マット・リーヴス 
出演アンディ・サーキス 
ウディ・ハレルソン 
スティーヴ・ザーン 
カリン・コノヴァル 

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