映画【八つ墓村(1977)】感想(ネタバレ):落ち武者伝説と連続殺人

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●こんなお話

 いろんな因縁がある村で殺人事件が起こる話。

詳細ネタバレあらすじ

 永禄9年(1566年)、尼子氏の落ち武者8人が山あいの村へ逃げ込む。村人たちは8人を受け入れるが、毛利氏から出されていた恩賞を目当てに8人を殺害する。殺された落ち武者たちは村に祟るとされ、その後、村では奇怪な事件が起こるようになる。村は8人の落ち武者を祀り、「八つ墓村」と呼ばれるようになる。

 400年後の1977年。羽田空港で国際線発着誘導員として働く寺田辰弥は、新聞の尋ね人欄をきっかけに大阪北浜の諏訪法律事務所を訪れる。そこで辰弥は、母親の父である井川丑松と初めて会う。丑松は辰弥の身体にある火傷の痕を確認するが、すぐにその場で苦しみ始めて死亡する。死因は毒物によるものだった。

 丑松の死後、辰弥は森美也子に案内され、母親の故郷である岡山県の八つ墓村へ向かう。美也子は多治見家と関係のある森家の未亡人で、辰弥に多治見家の後継者となる立場があることを伝える。辰弥は幼いころに母親の鶴子に抱かれて八つ墓村を離れており、母親から自分の出生について詳しく聞かされていなかった。

 八つ墓村に着いた辰弥は、多治見家の屋敷で病弱な久弥、春代、双子の小竹と小梅らと会う。久弥には子供がおらず、辰弥が多治見家の後継者として呼び寄せられていた。しかし、辰弥が屋敷に来て間もなく久弥が死亡する。久弥も毒殺される。

 村では八つ墓明神の祟りが再び始まったという噂が広がる。辰弥が村へ戻ってきた直後に丑松と久弥が相次いで死亡したため、村人たちは辰弥を事件と結びつける。

 辰弥は村に残る多治見家の過去を調べる。その中で28年前に起きた大量殺人事件の存在が明らかになる。多治見家の当主だった多治見要蔵が村人32人を殺害し、その後行方不明になっていた。辰弥は鍾乳洞の中で要蔵の遺体を発見する。

 辰弥の出生について知っていた工藤校長も毒殺される。続いて「祟りじゃ」と騒いでいた濃茶の尼も死亡する。これらの事件では毒物が使われており、丑松と久弥の事件を含めて毒殺事件が続いていく。

 その後、小梅も鍾乳洞内で殺害される。さらに、毒殺事件の捜査で容疑を向けられていた久野医師も鍾乳洞内で死亡しているのが発見される。毒殺事件の犯人を追っていた人物まで死亡したことで、事件の捜査は行き詰まる。

 村人たちは辰弥が八つ墓村に戻ってきたことを事件の原因と考え、辰弥を追い詰めようと騒ぎ始める。金田一耕助は辰弥を村人から守るため、鍾乳洞に隠れているように伝える。金田一は村で起きている事件を調べ、犯人の手がかりを探す。

 辰弥が洞窟に隠れているところへ春代がやって来る。春代は洞窟内で真犯人に襲われ、重傷を負う。辰弥が春代を見つけると、春代は犯人の指に噛みついて傷を負わせたことを伝える。その後、春代は辰弥の腕の中で死亡。

 辰弥は洞窟の中で、自分が生まれた場所だと母から聞かされていた「竜のアギト」を探す。そこへ美也子が食べ物と水を持って現れる。辰弥と美也子は洞窟内を進み、竜のアギトへたどり着き結ばれる。

 しかし、辰弥は美也子の右手の薬指に包帯が巻かれていることに気づく。春代が死ぬ前に、襲ってきた犯人の指に噛みついたと話していたため、辰弥は美也子が春代を襲った人物だと判断する。

 美也子が辰弥を追いかけて襲おうとした直後、洞窟内で落盤が起こり、美也子は落盤に巻き込まれて岩の下敷きになる。辰弥は落盤によってできた穴から洞窟の外へ出る。

 落盤によって開いた穴から大量のコウモリが飛び出し、多治見家へ向かう。多治見家では火事が発生し、屋敷が炎に包まれる。

 辰弥は洞窟から出て、燃えている多治見家を遠くから見る。長峰峠には8人の落ち武者の姿が現れ、燃える多治見家を見下ろしている。辰弥は八つ墓村を離れて空港での仕事に戻って離陸する飛行機を見つめておしまい。

●感想

 300年前の落ち武者伝説と28年前の大量殺人を絡めながら、現代の八つ墓村で連続殺人が起こるという構成が面白かったです。戦国時代の出来事が村に残り、さらに28年前にも大量殺人が起こっていて、その土地に主人公が戻ってきたところから現在の事件が始まります。過去の事件と現在の事件が重なっていくので、「この村では一体何が続いているのか」と追いかけていく面白さがあります。

 ただ、登場人物がかなり多いので、関係を把握するのは大変でした。「この人が多治見家の長男で、この人がその親族で、この人が別の家につながっていて」と人物関係が次々に出てきます。しかも、同じ一族の中でも過去の事件や出生の秘密が絡んでくるため、人物相関を頭の中で整理しながら見る必要がありました。

 その一方で、人物関係を整理している途中でも、ホラー描写が入ると全部そちらに持っていかれます。特に冒頭の落ち武者狩りは強烈でした。落ち武者を村人たちが襲い、血が飛び、首が飛ぶ。その後に描かれる28年前の多治見要蔵による大量殺人も含めて、物語の背景を説明する場面そのものがかなり強烈です。

 このあたりは、事件の謎を追うミステリーというより、映像で恐怖を見せる作品として印象に残りました。

 金田一耕助については、個人的には少し物足りなかったです。渥美清さんが演じる金田一は、事件の中心にずっといる探偵というより、ところどころに現れて状況を説明する役割が強く感じられました。

 そのため、金田一が登場して事件を論理的に一つずつ解決していくタイプのミステリーを期待すると、少し違った印象になります。実際、終盤になって金田一が犯人を突き止めますが、観客が金田一と一緒に細かな手がかりを積み重ねて犯人を当てていく構成ではありません。

 真相についても、犯人の過去や人間関係が明らかになり、そこから犯人だったことが分かる構成です。個人的には、決定的な証拠を積み重ねて論理的に犯人を追い詰めるミステリーを期待していたので、その部分は少し物足りなく感じました。

 さらに、終盤の展開には偶然によって事件が決着する部分が多く感じられました。美也子が辰弥を襲ったところで洞窟が崩れ、落盤によって美也子が死亡する。その後、洞窟から飛び出したコウモリが多治見家へ向かい、屋敷が炎上するという流れです。

 事件の謎を論理的に解決するというより、最後は鍾乳洞の中で起こる落盤やコウモリ、火災までが一気に重なっていきます。この展開はミステリーとして見ると偶然に頼った印象がありますが、ホラーとして見ると、この強引な展開も含めて作品の勢いになっています。

 そして、鍾乳洞の場面はかなり長く感じました。芥川也寸志さんの音楽が流れる中、萩原健一さんと小川真由美さんが洞窟の中を歩き回る場面が続き、ストーリーを進めるというより、鍾乳洞そのものを見せる時間が長く取られています。151分という上映時間もあり、ここはもう少し短くてもよかったと思います。

 それでも、1977年当時の羽田空港の様子が見られるのは面白かったです。物語の始まりが現代の東京で、辰弥が羽田空港で働いているところから始まるので、八つ墓村へ向かう前の東京の風景も含めて、当時の日本を映像で見られる楽しさがあります。

 そして何より、ホラー映画としての見どころはかなり多いです。落ち武者狩り、28年前の32人殺し、鍾乳洞、血まみれの殺人、コウモリ、多治見家の炎上など、強烈な場面が次々に出てきます。ミステリーとして事件の謎を追うというより、八つ墓村という土地に積み重なった出来事を映像で見ていく作品として楽しめました。

☆☆☆

鑑賞日: 2016/11/06 Hulu 2026/09/20 U-NEXT

監督野村芳太郎 
脚本橋本忍 
原作横溝正史 
出演萩原健一 
小川真由美 
山崎努 
山本陽子 
市原悦子 
山口仁奈子 
中野良子 
加藤嘉 
井川比佐志 
花澤徳衛 
下絛アトム 
夏八木勲 
田中邦衛 
稲葉義男 
大滝秀治 
夏純子 
藤岡琢也 
下絛正巳 
山谷初男 
浜田寅彦 
浜村純 
任田順好 
渥美清 
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