●こんなお話
自殺サイトで集まった人たちのもろもろの話。
●感想
自殺志願者のほう助する主人公の高校教師ですが、「痛みが少ない死に方がいい」という相手に対して血液を抜いて殺すという方法をやってその人間の血液を飲むという。見ていると感情移入の余地のない人間です。ところが、微妙に揺れるカメラに長回しにピアノの旋律とカナダでの撮影でも相変わらずの「岩井ワールド」全開で、主人公の行く末が気になってしまうから不思議です。
「映像が綺麗」や「音楽がいい」ということはわかりますが、果たしてそれが「イコール面白い」ということなのかは別で、主人公たちの気持ちがよくわからないところがありました。
今までおそらくたくさんの人間の血液を飲んできた主人公だと思いますが、中盤で出会うレディバードに対しては死なせないという行動をとりますが。そこがイマイチわからなかったです。その前の森を歩いてヒルをとったりしてたときに何かの心変わりがあったのかと思いますが、ボクにはわからなかったです。そもそも主人公が何故、血液を飲む衝動にかられるのかも説明がないです。
主人公以外にもアルツハイマーの母親やストーカーの彼女なども、他人に対する独特の距離感を出してきます。みんな、他人と接するのが苦手な人たち。
そして、蒼井優さん演じる留学生が自殺するのを止めて。最後に今までたくさんの人物の血液を奪っていた主人公が留学生に輸血する。彼女を救うことが、主人公にとって何になったのか? というのがちょっとわかりずらかったです。贖罪ということだったのでしょうか。
そして最後のファンタジーのようなシーンを見ると果たして現実の物語だったのか。ラストの冷凍庫でバレエをするシーンが現実だったのだろうか。と、ちょっと主人公の背景と行動の動機がわかりずらくて、おそらくいろんなメタファーみたいなものがあったと思いますが、読み取る力不足で大変な映画でした。
☆☆☆
鑑賞日: 2012/09/24 シネマサイズ
監督 | 岩井俊二 |
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脚本 | 岩井俊二 |
出演 | ケヴィン・ゼガーズ |
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ケイシャ・キャッスル=ヒューズ | |
蒼井優 | |
アデレイド・クレメンス | |
アマンダ・プラマー | |
クリスティン・クルック | |
レイチェル・リー・クック | |
トレヴァー・モーガン |