●こんなお話
関東と関西のヤクザの喧嘩の話。
●感想
前作の抗争から五年が経過し、関東最大級の暴力団組織である山王会は大きく姿を変えていた。かつての会長亡き後、二代目会長に就任した加藤と若頭の石原を中心に、組織はより合理性と利益を優先する巨大な集団へと成長している。政治家や警察とも裏で関係を築き、表向きは安定した支配体制を確立しているように見えたが、その急激な拡大は内部に歪みと不満を生み出していた。
山王会の力が過剰に肥大化している状況を危険視した刑事・片岡は、再び裏社会に深く踏み込む行動に出る。片岡は直接山王会を叩くのではなく、関西の巨大組織である花菱会を利用し、両者を対立させることで共倒れを狙う策略を進めていく。その過程で、前作において死亡したとされていた元山王会幹部・大友が実は生きていたことが明らかになる。
大友は片岡の思惑によって「死んだ存在」として処理され、刑務所で長い時間を過ごしていた。仮出所後はヤクザ社会から距離を置き、韓国系フィクサーの張の庇護を受けながら、表舞台とは無縁の静かな生活を送っていた。しかし片岡は大友を最後の切り札として利用し、過去の裏切りや因縁を巧みに刺激することで、再び抗争の渦へと引き戻す。
大友はかつて敵対し、血を流し合った木村と再会する。互いに過去の誤解や怨恨を抱えながらも、山王会という共通の敵を前に手を組む選択をする。二人は花菱会の後ろ盾を得て、山王会の中枢を狙った復讐と組織崩壊を目的に動き出す。
一方、山王会内部では疑心暗鬼が広がり、幹部同士の権力争いが激化していく。片岡の策略によって不信はさらに煽られ、組織は次第に統制を失っていく。抗争は徐々に激しさを増し、大友はかつて自分を切り捨て、仲間を犠牲にした山王会幹部たちを冷酷な手段で次々と始末していく。
やがて山王会は壊滅的な打撃を受け、警察、裏社会、そして個々の思惑が複雑に絡み合った抗争は終息へ向かう。すべてを裏で操ってきた片岡もまた、大友の銃弾によって倒れておしまい。
関東の巨大組織に関西勢力が介入し、内外から圧力を受けて揺らいでいく構図が明確に描かれており、前作とは異なる広がりを感じました。前作が組織内部の裏切りや疑念を中心に描いていたのに対し、今回は外部勢力の存在が加わることで抗争のスケールが一段大きくなってます。
登場人物たちが現状や背景を言葉で説明する場面が多く、その点では映像だけで語る余白はやや少なめに感じました。北野作品特有の、沈黙や視線だけで緊張を伝える演出を期待すると、少し印象が変わるかもしれません。ただ、その分、組織同士の関係性や力関係は理解しやすくなってました。
物語の中盤以降は、幹部たちによる会議の場面が何度も描かれ、組織という巨大な生き物がどのように判断を誤り、崩れていくのかが丁寧に示されていました。若い構成員たちが上層部の決定に振り回され、使い捨てられていく様子には、ヤクザ社会の非情さが色濃く表れています。
有力な人物が次々と捕まり、あるいは命を落としていく展開は緊張感があり、怒号や罵声が飛び交う場面にも重みがありました。ただ荒々しいだけでなく、それぞれの人物が抱える焦りや恐怖が感じ取れた点は印象に残ります。
全体として、静かな映像と重厚な会話を積み重ねることで、暴力の世界に生きる男たちの弱さや愚かさが浮かび上がる作品でした。力を持つことの危うさと、その裏側にある空虚さがじわじわと伝わってくる一本だと感じました。
☆☆☆
鑑賞日:2013/04/12 Blu-ray 2017/10/07 Blu-ray 2025/12/14 DVD
| 監督 | 北野武 |
|---|---|
| 脚本 | 北野武 |
| 出演 | ビートたけし |
|---|---|
| 西田敏行 | |
| 三浦友和 | |
| 加瀬亮 | |
| 中野英雄 | |
| 松重豊 | |
| 小日向文世 | |
| 高橋克典 | |
| 桐谷健太 | |
| 新井浩文 | |
| 塩見三省 | |
| 中尾彬 | |
| 神山繁 | |
| 田中哲司 | |
| 名高達男 | |
| 光石研 |


