●こんなお話
今度はメキシコでグラボイズが現れたので、グラボイズと戦ったことのある前作の主人公が雇われてグラボイズ退治をする話。
●感想
本作はテレビ映画ということで、さすがに映像やスケールには限界があるのですが、その“限界”をむしろ味方にしたような軽妙さがあって、低予算作品ならではの妙味がしっかり生きていたと思います。大作感はないものの、シリーズを追ってきたファンとしては、この手作り感や肩肘張らない演出がむしろ嬉しく感じられました。
物語はいつものように、地中から現れる謎の生命体・グラボイズとの対決からスタートします。序盤ではバートたちが順調にグラボイズを駆除していき、今回はわりとテンポ良く展開が進みます。ただ、いつも通りには終わらないのがこのシリーズの醍醐味で、途中からグラボイズの様子に異変が現れ、どうやらこれまでとは違う個体が現れているらしいことが判明。事態が手に負えなくなってきたことで、前作で登場した武器マニアの仲間に応援を要請する流れとなります。
今回の新種グラボイズは地上に姿を現し、四足で走り回るという新しいスタイルを持っており、従来の地中からの奇襲というスタイルとはまったく異なるアプローチになっていました。しかもこのグラボイズ、目が見えない代わりに熱を感知して獲物を追い詰めるという特性を持っており、後半は人間たちがいかにして熱を感知されずに逃げ延びるか、まるで“かくれんぼ”のようなスリルを楽しむパートが続いていきます。
ただ、今回の作品はシリーズの中でも特にコメディ要素が強くなっていて、キャラクター同士のやりとりや小ネタの数々が増えたことで、緊張感はほとんど感じられなくなっていたのも確かです。モンスターとの命がけの攻防というよりは、ちょっとしたバラエティ的な軽さが前面に出ていて、そういった雰囲気が好きな方には合うと思いますが、もう少しシリアス寄りの展開を期待していた身としては少し物足りなさもありました。
また、グラボイズが新種とはいえ、意外と簡単にやっつけられる印象があったり、倒し方も爆破ばかりという単調さが続いたことで、映像的な盛り上がりが後半やや鈍ってしまったのは否めなかったです。もう少し多様な演出があると嬉しかったのですが、それでもグラボイズが熱を感知して迫ってくる場面などにはしっかりと緊迫感があり、その設定を活かしたアイディアが随所に見られたのは面白かったです。
シリーズとしての魅力は依然として健在で、ひたすらモンスターと人間の追いかけっこが繰り広げられるという基本構造はそのままに、テレビ映画ならではのテンポと遊び心で飽きさせない作品に仕上がっていたと思います。ド派手な演出や重厚なドラマがなくても、こうしたシンプルなエンタメに振り切った作品には、やはり一定の魅力があると感じました。
☆☆☆
鑑賞日: 2016/03/27 Hulu 2018/10/04 NETFLIX
監督 | S・S・ウィルソン |
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脚本 | S・S・ウィルソン |
ブレント・マドック |
出演 | フレッド・ウォード |
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クリストファー・ガーティン | |
ヘレン・シェーバー | |
マイケル・グロス |
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