映画【首都消失】感想(ネタバレ):謎の雲に東京が消えた日――リアルなシミュレーションと人間ドラマが交差するパニック映画

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●こんなお話

 東京に謎の雲が覆って音信不通なっちって2000万人の安否がわからない中、いろんな人たちがてんやわんやの話。

●感想

 ある日突然、首都・東京との通信が途絶えるという異常事態が発生。原因は謎の巨大な雲。雲の正体を調査する科学者たちや、事態に対応しようとする企業や官僚たち、そして政治が完全に機能停止する中で動き出す地方の知事たち。非常時における日本の対応をシミュレーション的に描いた前半はとても興味深く、リアルな緊迫感があって楽しめました。

 そんな中でも、家族の安否がわからないまま日常の職務をまっとうしようとする人々の姿が描かれ、人間ドラマとしても厚みが感じられるものでした。やがてアメリカやソ連といった大国も動き出し、事態は国際問題へと発展していく。謎の雲の正体や目的が最後まで明かされない点も、むしろ恐怖を増幅させる効果があって良かったと思いました。

 ただ、物語の中盤以降、急に記者同士の恋愛要素が入ってきてテンポが崩れたのが残念でした。それまであまり描かれていなかった登場人物の恋愛に突然スポットが当たり、正直なところ感情移入できず、物語の核心から外れていってしまった印象がありました。

 さらに、前半でしっかり描かれていた政治の動きが後半になるとほぼ消えてしまい、見応えのあった部分が薄れてしまった気がします。関西のマスコミ関係者の描写も、時間をかけてはいましたが、全体の展開に大きな影響を与えるわけではなく、少し冗長に感じられました。

 終盤には「スーパー兵器」が登場し、雲に対して攻撃を仕掛けるシーンもありますが、その演出がややチープで、それまで築かれてきたリアリズムが薄れてしまった印象も。しかも、雲の中の人々を心配して皆で歌を歌うというシーンは感動的に描かれているのかもですが、現代の感覚ではやや失笑してしまう場面でした。

☆☆

鑑賞日: 2014/09/26 DVD

監督舛田利雄 
脚本山浦弘靖 
舛田利雄 
原作小松左京 
出演渡瀬恒彦 
名取裕子 
山下真司 
石野陽子 
大滝秀治 
夏八木勲 
財津一郎 
おさむ(ザ・ぼんち) 
津村隆 
丹波哲郎 
石橋蓮司 
渡辺文雄 
松村冬風 
江角英明 
岸部一徳 
平淑恵 
三木のり平 
竜雷太 
加藤治子 
海老名美どり 
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