映画【悪魔のいけにえ】感想(ネタバレ):テキサスの熱気と狂気が襲う

the-texas-chain-saw-massacre
スポンサーリンク

●こんなお話

 テキサスの田舎でチェーンソー持った大男に追いかけられる話。

●感想

 墓荒らし事件が頻発しているというラジオニュースが流れる中、サリーとその兄フランクリンが友人のジェリー、カーク、パムとともに祖父の墓を確認するためテキサスを訪れるところから始まる。

 道中でヒッチハイカーの男を拾うが、男は突然ナイフで自分の手を切りつけたり、フランクリンの腕を傷つけたりと異常な行動を取り、写真を無理やり売りつけようとする。拒否されると激昂し、車内で暴れ出したため一行は彼を車外に追い出すが、男は去り際に車体に血を塗りつけて立ち去る。

 一行はガソリンスタンドに立ち寄るが燃料がないと言われ、仕方なく祖父の古い家へ向かう。家は荒れ果てており、家具や室内には不気味な雰囲気が漂っているが、彼らはそのまま滞在する。

 やがてカークとパムは近くに発電機の音がする別の家を見つけ、水を求めて訪れる。カークが中に入った直後、大男レザーフェイスが現れてハンマーで頭部を殴打し、そのまま殺害して奥へ引きずり込む。続いて入ったパムも捕らえられ、フックに吊るされた状態で解体される。

 戻らない二人を探しにジェリーが向かい、冷凍庫の中でまだ息のあるパムを見つけるが、その瞬間レザーフェイスに襲われて殺される。

 夜になっても誰も戻らないため、サリーとフランクリンが懐中電灯を頼りに探しに出るが、暗闇の中でレザーフェイスが現れ、フランクリンはチェーンソーで切り裂かれて死亡する。サリーは必死に逃げ、あの家に飛び込むが、内部には人骨や人間の皮で作られた家具が並び、異常な生活の痕跡が広がっている。

 サリーは窓を突き破って外へ逃げ出し、ガソリンスタンドへたどり着くが、店主は助けるふりをして彼女を拘束し、実はレザーフェイスの家族であることが明らかになる。店主はサリーをトラックで家へ連れ戻し、家族が集まる食卓に座らせる。

 そこにはヒッチハイカーの男と、ほとんど動けない祖父がいて、サリーは血を吸われるなどの扱いを受ける。祖父はかつて屠殺場で働いていた経験を持ち、サリーを殺す役目を与えられるが、衰弱していてハンマーをうまく振り下ろせない。その隙を突いてサリーは拘束を解き、再び逃走する。

 夜明け前、サリーは道路に飛び出し、通りかかったトラックに助けを求める。運転手はレザーフェイスにスパナを投げて応戦するが、レザーフェイスはチェーンソーで襲いかかる。混乱の中でサリーはさらに逃げ、通りかかったピックアップトラックに飛び乗ってその場から離脱する。

 荷台の上でサリーは泣き笑いのような表情で叫び続け、遠ざかる中、背後ではレザーフェイスがチェーンソーを振り回しながら暴れ続けておしまい。


 冒頭からテキサスの蒸し暑さと乾いた空気が画面越しに伝わってくるようで、フィルムの質感と相まって独特の没入感がありました。序盤の何気ないロードムービーの雰囲気から、ヒッチハイカーとの遭遇によって一気に不穏さが増していく流れは見事で、何が起きるのか分からない不安がじわじわと積み重なっていきます。

 特に印象的なのは、カークが家に入った直後にハンマーで殴られる場面で、説明も余韻もなく突然訪れる暴力が強烈でした。身体が痙攣する描写と扉が閉まる音だけで恐怖を成立させており、その後の展開の緊張感を一気に引き上げています。そこから短時間で仲間が次々と退場していく構成も非常に大胆で、気づけばサリー一人に追い込まれているスピード感が印象に残ります。

 後半の食卓シーンは視覚的にも精神的にも強烈で、ミイラのような祖父がハンマーを振り下ろそうとして何度も失敗する場面は、滑稽さと恐怖が同居する異様な空気を生み出していました。家族の関係性や動機がほとんど語られないまま進むことで、理解不能な狂気として観客に突きつけられる構造になっていると感じました。

 また、登場人物の背景説明が極端に削ぎ落とされているにもかかわらず、純粋な映像と音だけで強烈な印象を残していく点も興味深かったです。名前や事情を知らなくても成立する恐怖表現の強さを実感しました。

 終盤はサリーの絶叫がほぼ途切れることなく続き、観ている側も体力を削られるような感覚になりますが、その疲労感も含めて作品体験として強く記憶に残ります。約90分という短さの中でここまで濃密な恐怖を詰め込んだ構成には圧倒されました。

☆☆☆☆☆

鑑賞日:2021/05/09 NETFLIX 2026/04/05 U-NEXT

監督トビー・フーパー 
脚本キム・ヘンケル 
出演マリリン・バーンズ 
アレン・ダンズィガー 
ポール・A・パーティン 
ジム・シードー 
ガンナー・ハンセン 
ジョン・デュガン 
タイトルとURLをコピーしました