●こんなお話
独裁政権のアメリカで凶悪犯とヒーローが殺しあうテレビ番組に参加させられるシュワちゃんの話。
●感想
2017年、世界的な経済崩壊を経たアメリカ合衆国は、政府とメディアが一体化した全体主義的な警察国家へと変貌している。政府は国民の不満や怒りを逸らすため、テレビ放送を通じて過激な娯楽番組を流し続け、暴力を娯楽として消費させることで社会の安定を保っている。
連邦警察のキャプテンであるベン・リチャーズは、ベーカーズフィールドで発生した暴動の鎮圧に出動するが、集まった市民が武器を持たない民間人であることを知り、無差別発砲の命令を拒否する。だが、上官と同僚たちは命令に従って市民を射殺し、その責任をリチャーズ一人に押し付ける。彼は現場で負傷させられ、「ベーカーズフィールドの屠殺者」として捏造された映像とともに全国に報じられる。
18か月後、リチャーズは強制労働を強いられる拘禁キャンプに収容されている。囚人仲間のハロルド・ワイスとウィリアム・ラフリンは脱走計画を練り、暴動を引き起こして混乱を作り出す。三人は爆発する首輪を装着された囚人区域を突破し、荒廃したロサンゼルス市内へと逃げ込む。
街中の巨大スクリーンでは、国民的人気番組「ランニング・マン」が連日放送されている。この番組は、重犯罪者とされた参加者が完全武装した殺し屋であるストーカーから制限時間内に逃げ切れば自由を得られるという内容で、視聴者は参加者の死を娯楽として楽しんでいる。
リチャーズたちは空港から国外脱出を試みるが、元政府音楽隊の女性アンバー・メンデスに助けを求めたことで裏切られ、再び拘束される。番組プロデューサーのデーモン・キリアンは、視聴率回復の切り札としてリチャーズを番組に出演させることを決め、彼と仲間たちを「ランニング・マン」に強制参加させる。
三人はロケットそりで競技区域に送り込まれ、最初のストーカーとしてアイスホッケー装備のサブゼロが投入される。リチャーズは激しい戦いの末にサブゼロを倒し、ランナーがストーカーを殺すという前代未聞の展開が放送される。続いてチェーンソーを武器とするバズソーが現れ、これも倒されるが、ラフリンは致命傷を負って命を落とす。
ワイスは政府の衛星放送中継を掌握するためのアクセスコードをアンバーに伝えようとするが、電撃兵器を操るストーカー、ダイナモに殺害され、アンバーは捕らえられる。リチャーズはダイナモを無力化するものの殺さず、番組の想定を覆す行動を取る。キリアンは彼にストーカー側への転向を持ちかけるが、リチャーズは拒絶する。
アンバーは過去の番組勝者とされていた人物の遺体を発見し、番組が結果を捏造していた事実を知る。リチャーズは火炎放射器を操るファイヤーボールを倒し、次第に視聴者の支持を集めていく。
やがて反政府組織のリーダーであるミックと接触したリチャーズは、政府とメディアの欺瞞を暴く決意を固める。一方キリアンは、かつての英雄的ストーカーであるキャプテン・フリーダムを投入しようとするが、彼は不正な戦いを拒否する。ICSは偽造映像によってリチャーズとアンバーの死亡を報じ、虚偽の支配を続けようとする。
リチャーズはワイスが残したアクセスコードを使い、政府の捏造映像と真実を全国放送に割り込ませる。反乱軍はICS本部に突入し、放送局内は混乱に包まれる。アンバーはダイナモをスプリンクラーの水と電撃で倒し、リチャーズはキリアンをロケットそりに乗せて競技区域へ送り返す。制御不能となったそりは爆発し、キリアンは命を落とす。放送を通じて真実が暴かれ、市民は初めて政府の嘘を目の当たりにする。
ピチピチのスーツに身を包んだシュワルツェネッガーが、次々と現れる「ストーカー」と呼ばれる個性過剰な殺人者たちと対決していく構図は、設定自体が荒唐無稽でありながら、最後まで強烈な娯楽性を保っており、純粋なアクション映画としての推進力を強く感じさせました。アイスホッケー装備やチェーンソー、火炎放射器といった誇張されたキャラクター造形も、リアリティよりも見世物としての分かりやすさを優先しており、その割り切りが作品全体のテンポの良さにつながっているように思われます。
一方で、番組側が都合の悪い事実を隠蔽し、編集や捏造によって視聴者の感情を操作していく様子には、単なるSFアクションにとどまらない鋭い風刺が込められていると感じました。視聴率のために真実が歪められ、群衆がテレビの映像だけを信じて熱狂していく構図は、製作当時以上に現代的な重みを帯びて映ります。
終盤で反体制派が突如として物語の前面に現れ、比較的あっさりと放送局を制圧する展開には、やや駆け足な印象を受け、「ここから収束へ向かう」という意図が透けて見える部分もありました。ただ、その強引さを含めても全体のテンポは終始軽快で、深刻になりすぎることなく観客を物語に引き込む力は維持されていたように思います。
ラストで主人公が英雄として喝采を浴びる展開も、表面的には痛快でありながら、体制そのものが本当に変わったのかという点には疑問が残り、どこか皮肉な余韻を漂わせます。派手なアクションと分かりやすい勧善懲悪の裏側に、メディアと権力の関係性への問いを忍ばせた点も含め、娯楽性と批評性が同居した印象深い一本でした。
☆☆☆
鑑賞日: 2015/11/16 Hulu 2024/05/21 U-NEXT 2026/02/08 U-NEXT
| 監督 | ポール・マイケル・グレイザー |
|---|---|
| 脚本 | スティーヴン・E・デ・スーザ |
| 原作 | スティーヴン・キング |
| 出演 | アーノルド・シュワルツェネッガー |
|---|---|
| マリア・コンチータ・アロンゾ | |
| ヤフェット・コットー | |
| ジム・ブラウン |


