●こんなお話
人間狩りをする悪人を回し蹴りでやっつけるヴァンダムの話。
●感想
ニューオーリンズでは警察官がストライキを行っており、街の治安が悪化している。父親ダグラス・ビンダーを探すため弁護士のナターシャ・ビンダーがやって来る。ベトナム帰還兵だったダグラスとは長い間連絡が取れず、ナターシャは父親の居場所を探して街で聞き込みを続けていた。
一方、元海兵隊員のチャンス・ブドローは、現在は船員として働いているものの、港で仕事を得られずにいた。そんな中、ナターシャがバーで父親を探していることを話しているところを男たちに聞かれ、持っている金にも目をつけられる。店を出たナターシャは男たちに襲われるが、偶然その場にいたチャンスが介入し、男たちを次々と倒して彼女を助ける。
ナターシャはチャンスに父親探しを手伝ってほしいと頼む。しかしチャンスは最初は断る。ところが港へ行っても仕事を紹介してもらえず、生活費にも困っていたため、ナターシャから提示された報酬を受け取ることにして依頼を引き受ける。二人はダグラスの行方を調べるため、警察やホームレスたちから情報を集め始める。
担当するミッチェル刑事からは、ダグラスがホームレスとして暮らしていたことを聞かされる。そして間もなく、焼けた廃屋からダグラスの遺体が発見される。警察は火災による死亡として処理しようとするが、チャンスは現場に不自然な点があることに気づく。さらにダグラスの認識票に弾丸が撃ち込まれたような跡を発見し、父親は単純な火災事故で死亡したのではなく、誰かに狙われたのではないかと疑い始める。
チャンスはダグラスを知るホームレスのエライジャ・ローパーから話を聞く。ローパーによれば、ダグラスは生活費を得るために怪しい仕事を引き受けていた。実はニューオーリンズでは、生活に困っている人間を対象にした異常な「人間狩り」が行われていた。
その人間狩りを仕切っているのが、エミール・フーションとピク・ヴァン・クリーフだった。フーションたちは大金を払う富裕層を相手に、人間を獲物として狩るゲームを提供していた。獲物となる人間には一定の金が渡され、決められた時間を逃げ切れば自由になれるという条件が示される。しかし、ハンターたちは最初から相手を殺すことを目的としており、ゲームは富裕層が人間を撃ち殺すための娯楽になっていた。
ダグラスもこの人間狩りの獲物にされた一人だった。フーションとピクは、自分たちの犯罪についてどこまで情報が漏れているのかを確認するため、獲物を集めていた仲介役のランダル・ポーを追及する。ポーは人間狩りに参加する人間を紹介する役割を担っていたが、フーションたちは彼から情報を聞き出すために暴力を振るい、耳まで切り落として脅迫する。
チャンスもポーを訪ね、ダグラスについて問いただす。ポーから情報を得たことで、人間狩りに関係する人物が警察内部にもいることが明らかになっていく。検視官モートンも事件に関係しており、人間狩りによって殺された人間の記録を隠していた。
ミッチェル刑事がダグラスの遺体を詳しく調べようとしていることを知ったフーションは、捜査が自分たちに近づいていることを警戒する。そして、ニューオーリンズで最後の人間狩りを行った後、活動場所を東ヨーロッパへ移す計画を立てる。
一方、ポーはエライジャ・ローパーに仕事を持ちかける。ローパーは金に困っていたため、1万ドルを受け取って人間狩りの獲物になる。一定の場所から逃げ出して川までたどり着けば、その金を持ったまま自由になれるという条件だった。
ローパーは必死に街を逃げ回る。追跡してくるハンターの一人を倒して銃を奪い、反撃するもするが。相手は複数で、ローパーは次第に追い詰められていく。街中で助けを求めても、周囲の人々はほとんど関わろうとしない。最終的にローパーはハンターたちに捕まり、射殺される。
チャンスとナターシャはミッチェル刑事からローパーのことを聞き、さらに事件を追う。ポーも逃亡しようとするが、フーションたちに捕まり、ピクによって射殺される。その場にチャンス、ナターシャ、ミッチェル刑事も現れるが、ハンターたちが襲撃してくる。銃撃戦の中でミッチェル刑事が撃たれ、チャンスとナターシャはその場から逃げ出す。
チャンスは敵のバイクを奪ってナターシャを乗せ、追手から逃走する。敵の車に追いつかれると、バイクから車へ飛び移って銃撃し、車を爆破する。チャンスとナターシャは走行中の貨物列車へ飛び移って逃げる。
二人は列車から逃げ、ニューオーリンズの湿地帯へ入り込む。そこでナターシャがガラガラヘビに襲われそうになるが、チャンスがヘビを捕まえて助ける。そしてチャンスはそのヘビを利用して罠を仕掛け、追跡してきた男を撃退する。
チャンスとナターシャはチャンスの叔父ドゥヴェーのもとへ逃げ込む。ドゥヴェーは二人を受け入れ、武器を用意する。
ドゥヴェーの農場にもハンターたちが押し寄せる。ドゥヴェーは罠を仕掛けて敵を迎え撃ち、建物を爆発させるなどして追手を撃退する。さらに弓矢を使って敵と戦い、チャンスを援護する。
チャンスはナターシャをドゥヴェーに任せ、敵を廃工場へ誘い込む。チャンスは物陰から飛び出して反撃し、格闘と銃撃を組み合わせながら次々と敵を倒していく。
やがてチャンスはピク・ヴァン・クリーフと直接対決する。ピクはショットガンを使ってチャンスを追い詰めるが、チャンスも激しく抵抗する。二人は廃工場の中で銃撃と格闘を繰り返し、最後にはチャンスがピクを倒す。
しかし、フーションはナターシャを捕らえ、チャンスを追い詰める。ドゥヴェーも撃たれて倒され、ナターシャは人質になる。フーションはチャンスに武器を捨てさせ、最後は銃を使わず、二人だけの肉弾戦で決着をつけようとする。
チャンスとフーションは激しい格闘を繰り広げる。チャンスは追い詰められながらも反撃し、フーションを倒す。そして最後にはピクから奪った手榴弾をフーションの衣服の中に入れ、蹴り飛ばす。フーションは手榴弾を取り出そうとするが間に合わず、爆発によって死亡する。
人間狩りの一味は壊滅させて、チャンスはナターシャを助け出し、撃たれたドゥヴェーのもとへ向かう。ドゥヴェーは銃撃を受けていたものの、ポケットに入れていた酒瓶が銃弾を受け止めていたため命を取り留める。チャンス、ナターシャ、ドゥヴェーの3人は無事にその場を離れておしまい。
1人の男が集団から必死に逃げ回り、ボウガンで追われながら射殺される場面から始まるので、冒頭からかなり強烈です。女性のナターシャは父親を探すために街のあちこちで聞き込みを続けますが、警察に事情を説明しても十分な対応を受けられず、手がかりをつかめないまま苦労します。
一方、主人公のチャンスは船員として働いているものの、港では仕事を回してもらえず、生活にも困っている状態。そんなチャンスがナターシャを助けたことをきっかけに、父親探しを手伝うことになります。最初は金のために引き受けた仕事なのに、調査を進めるうちに単なるアルバイトでは済まない事件へ巻き込まれていく流れは分かりやすいです。
チャンスはホームレスたちから情報を集めますが、ナターシャの父親が死亡したことを知らされます。しかし、現場を調べると単なる事故とは思えない痕跡が見つかり、父親が人間狩りの犠牲になった可能性へたどり着きます。
その裏でフーションとピクは富裕層を相手に人間狩りを続けています。人間を獲物にして街中を追い回し、銃やボウガンで殺していくという設定はかなり無茶苦茶ですが、この作品はその無茶苦茶さを細かく説明するより、とにかく派手なアクションを次々と見せていく方向に振り切っています。
警察官がストライキ中という設定も面白く、街中で人が追い回されて撃ち殺されているのに、警察が十分に機能していない状況を成立させています。もちろん現実的に考えるとツッコミどころはありますが、90年代アクション映画として見ると、細かなリアリティよりも主人公がどんな状況から脱出するのかを楽しむ作品だと割り切れます。
特にチャンスの無敵ぶりがすごいです。拳銃を持っただけで何十人もの敵を相手にしてしまい、敵の銃弾はほとんど当たらず、こちらの銃弾はきっちり敵に命中します。劣勢になったと思った瞬間には反撃が始まるので、主人公が負ける心配をほとんどせずにアクションを楽しめます。
バイクに立ち乗りしたまま敵の車に突っ込んでいく場面なども非常に派手です。普通なら「そんなことできるのか」と思うところですが、ジョン・ウー監督はそこを気にせず、さらに派手なアクションを重ねていきます。まるでサーカスやシルク・ドゥ・ソレイユのような身体能力を見せつける場面で、90年代ハリウッドアクションらしい勢いがあります。
さらに、主人公が一人の敵に何発も銃弾を撃ち込み、倒れた相手に最後の廻し蹴りまで決めるような過剰な演出も楽しいです。敵のボスもどれだけ追い詰められても余裕の表情を崩さず、その妙に堂々とした立ち振る舞いが、カッコいいような、少し面白いような独特の魅力になっています。
一方で、物語そのものの求心力は少し弱く感じました。父親を探していたナターシャが物語のきっかけを作るものの、チャンスが人間狩りの標的になってからは、彼女の存在感が薄くなってしまいます。最終的にはチャンスと敵の戦いが中心になり、ナターシャは人質として扱われる場面が増えるため、もう少し彼女自身が事件に関わっていれば、物語への入り込み方も変わったように思います。
また、人間狩りを行う敵組織についても、富裕層が金を払って参加していることは分かるものの、組織がどのように運営されているのかまでは細かく描かれません。そのため、これだけ大規模なマンハントが街中で行われているのに、なぜ誰にも発覚しないのかという疑問は残ります。
とはいえ、そうした部分を気にし始めると、この映画の勢いを楽しめなくなってしまいます。人間狩りという無茶苦茶な設定を用意して、その設定を使って主人公を走らせ、撃たせ、殴らせ、爆破させる。そこにジョン・ウー監督のアクション演出を大量投入した作品として見ると、かなり楽しめました。
約100分という比較的コンパクトな上映時間の中で、追跡、銃撃戦、格闘、バイク、列車、ヘリコプター、罠、爆発と次々にアクションが続くため、勢いが落ちにくいのも魅力です。ストーリーをじっくり味わうタイプの作品ではありませんが、90年代ハリウッド映画らしい荒々しく派手なアクションを楽しみたいときには、かなり気持ちよく見られる一本でした。
☆☆☆
鑑賞日:2013/02/24 DVD 2024/05/23 U-NEXT 2026/08/13 DVD
| 監督 | ジョン・ウー |
|---|---|
| 脚本 | チャック・ファーラー |
| 出演 | ジャン・クロード・ヴァン・ダム |
|---|---|
| ランス・ヘンリクセン | |
| ヤンシー・バトラー | |
| アーノルド・ボズルー | |
| ウィルフォード・ブリムリー | |
| ウィリー・カーペンター | |
| キャシー・レモン |


