映画【戦慄のリンク】感想(ネタバレ):ネット小説が命を奪う?中国ホラーが描く現実と虚構の境界

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●こんなお話

 ネット小説を読むと死んじゃうらしいのでそれを捜査する警察とか関係者の話。

●感想

 物語は、夜の街をカップルと歩く1人の女性が、突然人々が消えてしまい、目の前に髪の長い不気味な女性が現れるシーンから始まる。恐怖に包まれたその映像は、実は彼女が読んでいたネット小説の中の出来事だった。

 その女性のいとこである主人公は、電話の途中で突然切れてしまった彼女の様子が気になっていたが、やがて彼女が自殺したという知らせが届く。自殺するような人物ではなかったと疑問を抱いた主人公は、彼女のパソコンに残されていた小説を手がかりに、真相を探り始める。

 大学で授業中に教授と意見が合わず口論するような、少し浮いた存在の男子学生と手を組み、いとこの死の謎を追っていくうちに、ネット小説を読んでいた他のメンバーの存在が浮かび上がってくる。しかし、そのメンバーたちは次々と不可解な形で自殺してしまう。

 やがて、自殺現場に毎回現れる車いすの男性が、その読者の1人ではないかと警察も注目し、主人公と男子学生は彼の家を訪れる。彼はネット小説を書いていた人物で、過去のオフ会で女性に振られたことや読者との関係を語るが、その直後、自ら命を絶ってしまう。

 今度は主人公が行方不明になる。男子学生は小説を読み、自らも小説世界へと足を踏み入れる。そこはまるで廃病院のような空間で、あの髪の長い女性が襲ってくる。現実と虚構の境界を行き来しながら、彼は主人公を見つけて救い出そうと奮闘する。

 そして明らかになる黒幕は、なんと大学の教授だった。教授の娘が不幸な自殺を遂げていたことから、社会への恨みを抱き、催眠術を使ってネット小説の読者を次々と自殺に追い込んでいたという事実が明かされる。

 事件は終わったかに見えたが、最後にまたネット小説の更新通知が届き、物語は不穏な余韻を残して終わる。

 冒頭の、水面に映るビルの明かりや、ガラスに浮かび上がる結露が人の顔に見える演出は、じわじわと不気味さを感じさせてくれる演出でよかったです。しかし、中盤からは長髪の女性が直接襲ってくるなど、少しわかりやすく派手な演出に寄ってしまい、怖さよりも笑えてしまう瞬間も。 

 とはいえ、幽霊表現が制限される中国で、ここまで明確にホラー要素を描いていること自体が興味深く、その国の映画製作の背景を想像させる一本でした。

☆☆☆

鑑賞日:2024/04/21 Hulu

監督鶴田法男 
脚本マー・ボーヨン 
出演フー・モンポー 
スン・イハン 
シャオ・ハン 
チョウ・ハオドン 
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