映画【ロスト・ワールド ジュラシック・パーク】感想(ネタバレ):恐竜たちと再び出会う、島から街へと続く冒険の120分

The Lost World: Jurassic Park
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●こんなお話

 恐竜を育てるサイトBという島の調査隊が恐竜に襲われる話。

●感想

 裕福な家族がヘリに乗ってバカンスに訪れたのは、どこか南の海に浮かぶ緑の島。陽射しが水面にきらめき、風が葉を揺らすリゾート感あふれるその場所で、突如として娘が奇妙な小さな生き物に襲われる。黄色い悲鳴とともに場面は切り替わり、今度は主人公のもとに連絡が入る。恐竜を蘇らせたあのジュラシック・パークの創業者がまた何やら動いているらしい。話によると、事故のあったその島は「サイトB」と呼ばれ、恐竜たちを育てていた場所だという。研究施設は撤退したが、生き延びた恐竜たちが、今では自然の中で暮らしている。それがなぜ可能なのかを調査してほしい、と。かくして、主人公は仲間たちとともにその島へと向かうことになる。

 そしていざ到着してみれば、予想以上に自然の密度が濃く、静けさの奥に何かが潜んでいる気配が漂っている。娘もなぜか島に紛れ込んでおり、いつのまにか草食恐竜に遭遇してピンチに。命からがら逃げ出すやいなや、今度は別の調査チームが島に上陸してきて、次々と恐竜たちを捕獲していく様子を見せつけられる。その姿を見た主人公たちは、やっぱりこれはおかしい、と行動を起こす。捕らえられていた恐竜たちを夜中に檻から解き放ち、調査チームの拠点をパニック状態に追い込む。

 その後も島でのサバイバルは続いていく。ケガをして動けなくなっていたティラノサウルスの赤ちゃんを見つけ、助けることにした主人公たちだったが、これがきっかけでトレーラーに乗っていたところを親ティラノサウルスに襲われてしまう。ドン、と揺れて、ギリギリで踏ん張るトレーラーが崖の縁にかかって揺れるカットが、また絶妙で手に汗握る展開。地に足がつかないとはこのことかと思いながら、どうするどうなるとハラハラが止まらなかったです。

 さらに島の通信設備が壊れてしまったため、島の中央部にある拠点まで徒歩で移動することになるが、その道中にも新たな恐竜が現れて、はぐれたり、命を落とす者が出てきたりと気が抜けない。加えて、主人公がティラノサウルスの赤ちゃんの血がついたジャケットを着ていたことから、親恐竜の標的になってしまい、また一波乱。さらにヴェロキラプトルの群れにも遭遇してしまい、追われて、転んで、逃げて、仲間たちとの連携が試される。こうしたスリルがこれでもかと畳みかけてくるのが楽しくてたまらないです。

 ようやく拠点にたどり着き、壊れた無線を直してヘリを呼ぶことに成功。襲ってくるラプトルを交わしながら、ついに脱出。…と思いきや、物語はもうひと波乱あり。なんと恐竜たちの一部が生きたまま本土へと運ばれていたのだ。親ティラノサウルスを乗せた貨物船と連絡が取れなくなったとの報が入り、次に映るのは、夜の港に突っ込んでくる無人の巨大船。扉が開いたかと思うと、そこからあの巨体が現れる。コンクリートの街をティラノサウルスが歩く光景に、驚きというより「こうなったか」と頷いてしまうものでした。かくして街に放たれた恐竜は、人間の世界に再び爪跡を残すことに。

 恐竜が暴れる場面の連続と、現地ロケを思わせる自然の風景、爆発や咆哮の音響設計まで含めて、スクリーンのスケール感はまさにハリウッドならでは。120分という尺でも次々起こる展開に息をつく暇がなく、最後まで観客を惹きつける力を持っていたと思います。主人公たちは「恐竜を自然に返すべきだ」との信念で動いていましたが、その選択が結果的に多くの人を巻き込むことにもなってしまうという視点もあり、ただの勧善懲悪にしないところが物語を豊かにしていたと思います。

☆☆☆☆

鑑賞日:2011/11/08 Blu-ray 2022/07/18 Amazonプライム・ビデオ

監督スティーヴン・スピルバーグ 
脚本デイヴィッド・コープ 
原作マイケル・クライトン 
出演ジェフ・ゴールドブラム 
ジュリアン・ムーア 
ピート・ポスルスウェイト 
アーリス・ハワード 
リチャード・アッテンボロー 
ヴィンス・ヴォーン 
ヴァネッサ・リー・チェスター 
ピーター・ストーメア 
ハーヴェイ・ジェイソン 
リチャード・シフ 
トーマス・エフ・ダフィ 
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