●こんなお話
1年3組の学生さんたちが誰もいないはずの隣の4組から100パーおかしい音とかが聞こえてくるけど「4組はガス事故で死んだはずだぞ」と4組の謎に迫っていく話。
●感想
詩織はある朝、部屋の中で鳴り続ける微かな音に気づいて目を覚ますが、その正体は昭和63年発行の10円玉4枚が不自然に揺れ続けている音だった。違和感を覚えた詩織は亡くなった母の遺品である日記を読み返し、母が高校1年生だった昭和63年7月18日、北山田高校で発生したガス事故によりクラスメイトたちが死亡していた事実を知る。その日が命日であり、母の母校である北山田高校が近く取り壊される予定であることを知った詩織は、母に代わってその場所を訪れることを決意する。
同じ頃、現役の高校では1年3組の生徒である彩乃、未夢、友梨、芽生、由佳、美晴、佑治、満夫、靖彦らが、校内に伝わる怪談や過去に同じ学校の1年4組で起きたガス事故の噂話を交わしていた。すると、体育館の奥に誰もいないはずの場所から人影が見えたり、閉鎖された教室から呼吸音のような音が聞こえたり、廊下の窓に不自然な影が映るなど、具体的な怪異が断続的に発生し始める。
一方、インターネットに投稿するための心霊フェイク映像を撮影しようと、一樹、公雄、義人、ひとみの4人が廃校に忍び込み、校舎内で撮影を行う。撮影中、ひとみは公雄から聞いた「異界につながる」とされる噂の“きつねの窓”を再現し、その中を覗こうと試みる行動に出る。
詩織が廃校の校庭や校舎内を巡ると、かつてガス事故で亡くなった生徒たちの姿や声を思わせる現象が繰り返し起こる。現役高校でも、蛇行して見える廊下、階段から聞こえる足音、勝手に開閉するロッカー、体育館の奥から迫る気配などの怪異が頻発し、それらが過去の事故と関係していることが徐々に示されていく。
廃校に侵入した撮影グループは、カメラに映り込む不可解な影や、壁を横切る人影のようなものを目撃するうちに、校舎内に留まること自体が危険であると認識し始める。詩織は母の日記を手がかりに、校内で起きる異常現象が母の同級生たちの存在と結びついていると考えるようになり、怪異が特定の教室、階段、鏡、そして“きつねの窓”を媒介に現れていることを確認していく。
やがて、廃校での出来事と現役高校での怪異が交錯し、撮影グループや現役生徒の一部は校舎内の特定の場所で不可解な現象に巻き込まれ、出口を見失ったまま彷徨う状態に陥る。詩織は放送室に辿り着き、母とその同級生たちの過去を語るが、その話を聞いていた現役高校生たちは、自分たちが昭和64年を生きていると思い込んでいた存在であり、すでにガス事故で死亡した生徒たちであることを理解する。
その直後、生徒たちの身体は宙に浮き、画面は歪み、彼らは自分自身の遺体を目の当たりにする。その光景を前に、それぞれがその状況への感想の言葉を口にする。そして、詩織は泣きながら校舎を後にして帰宅しておしまい。
学生たちが学校の怪談やこっくりさんを話題にする日常風景の中で、授業中に遠くに立つ人影や、誰もいない場所から聞こえる声などが少しずつ積み重なっていく構成は、とても丁寧で印象的でした。即物的な驚かしではなく、違和感を継続させる演出が効果的だったと思います。
母の日記を手がかりに廃校を訪れる詩織の物語、現役高校生たちの日常に忍び寄る怪異、そしてネット投稿目的で侵入した若者たちの軽率な行動という三つの流れが並行して進む構成も特徴的で、それぞれの視点が少しずつ重なっていく過程は見応えがありました。
無音状態で息遣いだけが響く場面や、視線の先に何かが存在していることを示す演出など、観ている側の想像力を刺激する恐怖表現が多く、緊張感の持続力はかなり高かったです。幽霊の出現方法もワンパターンではなく、音響と画面構成を活かした工夫が随所に感じられました。
一方で、終盤に向かってすべての設定が説明され始めると、物語の推進力が弱まり、語りが長く感じられる部分もありました。放送室での展開は情報整理として重要ではあるものの、映像的な緊張感が薄れたのは惜しく感じました。単純に台詞が小さくて聞こえないという問題点も感じました。
全体としては、序盤から中盤にかけての恐怖演出は完成度が高く、学園ホラーとして十分な見応えがありました。構成上の整理不足はあるものの、日常と怪異が地続きで侵食されていく感覚をしっかり味わえる作品だと思います。
☆
鑑賞日: 2014/05/23 TOHOシネマズ南大沢 2026/02/11 U-NEXT
| 監督 | 落合正幸 |
|---|---|
| 原作 | 常光徹 |
| 出演 | 小西彩乃 |
|---|---|
| 山邊未夢 | |
| 新井ひとみ | |
| 中江友梨 | |
| 庄司芽生 | |
| 武田航平 | |
| 葉山奨之 | |
| 石橋杏奈 |


