映画【グレートウォール】感想(ネタバレ):万里の長城を舞台に繰り広げられる色鮮やかな怪物との戦い

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●こんなお話

 万里の長城でモンスターが襲ってくるってんで戦う話。

●感想

 交易で火薬を求めて旅を続ける主人公たちの物語は、追手から必死に逃げるシーンから始まります。逃げた先にそびえ立つのは、壮大な万里の長城。そこで彼らは兵隊たちに捕らえられてしまいます。主人公がこれまで倒してきた怪物の話をしてもなかなか信じてもらえず。そんな緊迫した状況の中、怪物たちが長城に現れ、中国の兵隊たちがカラフルな鎧を身にまとい、果敢に立ち向かいます。主人公たちはその戦いを見守りますが、やがて自らも怪物と遭遇し、活躍して退けることに成功します。一旦怪物たちは退却し、主人公は将軍たちから正式にゲストとして認められます。

 25年前にこの地を訪れたという西洋人の協力を得て、主人公たちは火薬を盗んで逃げようと試みますが、主人公はそのチャンスを捨てて現地に残ることを決めます。長城に再び怪物が襲来し、将軍が倒され、女性が指揮官に任命される展開も見逃せません。西洋人たちは火薬を盗んで逃げ出しますが、主人公はそれを止めようと奮闘。やがて彼らは内輪もめを起こし、部族に捕まったり、火薬を使って爆発を起こしたりと騒動が続きます。

 怪物たちは地下を掘り進んで都へ向かっていることが判明し、主人公たちは気球に乗って都へと向かいます。目的は女王を倒すこと。怪物たちをおとなしくする磁石を駆使しながら、高い塔の上から弓矢や火薬で女王を撃破。すると怪物たちは一斉に停止し、物語はおしまい。

 大作らしく次々に繰り出されるチャイニーズな設定や、カラフルな鎧を身にまとった兵隊たちが大勢で動き回る様子は非常に華やかで見応えがありました。効率がよいとは言えなさそうな戦術や、バンジージャンプのように飛び降りたり、大きなハサミでチョキチョキと切り込みを入れたり、巨大な提灯での移動など、どれも見た目の楽しさが勝っていて画面に引き込まれました。

 ただし、ストーリーはとてもシンプルで、ドラマとしての深みや人物の魅力はあまり感じられません。例えば、主人公が友人の忠告を無視して火薬を持ち逃げしようとする行動や、なぜグレートウォールを守る決意を固めるのか、その理由が理解しにくい点が気になりました。さらに、将軍たちが次々と前線に立ち倒れてしまうため指揮官が頻繁に交代する展開も、少し現実離れしているように思えました。

 また、ウィレム・デフォーが登場しますが、彼の存在は火薬で遊んではいけないという警告を伝えるだけの役割で、物語への貢献が薄く、退場の仕方も少し不思議に感じました。怪物の弱点が磁石であるという設定も、長く戦っているのに早く気づかないのは不思議です。女王を倒せば他の怪物が一斉に止まるという展開も、何度も見てきたパターンで、特に驚きや新鮮さはありませんでした。

 登場人物は主人公、ヒロイン、軍師、そして主人公を慕う若者くらいに絞られていて、エンドクレジットでキャストが豪華に紹介されても、正直誰が誰だったのか思い出せないほどです。

 これがチャン・イーモウ監督作品として期待すると少し残念に感じる部分もありますが、大きな予算を投入しながらB級映画のような楽しさを狙った大人たちの工夫が伝わってきて、その点は好感が持てる作品となっています。

 なお、トウテツという怪物は本来「魔を喰らう魔除け」として知られているのに、この映画ではなぜか魔物に変わってしまっている点も、設定として少し理解しづらかったです。

☆☆☆

鑑賞日: 2017/04/19 TOHOシネマズシャンテ  2018/01/10 Amazonプライム・ビデオ 2023/06/14 NETFLIX

監督チャン・イーモウ 
脚本カルロ・バーナード 
ダグ・ミロ 
トニー・ギルロイ 
原案マックス・ブルックス 
エドワード・ズウィック 
マーシャル・ハースコヴィッツ 
製作トーマス・タル 
出演マット・デイモン 
アンディ・ラウ 
ジン・ティエン 
チャン・ハンユー 
エディ・ポン 

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