映画【スモール・ソルジャーズ】感想(ネタバレ):動くおもちゃが繰り広げる、家の中の戦争と友情

Small Soldiers
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●こんなお話

 軍用チップを埋め込まれたおもちゃたちが暴れる話。

●感想

 物語は、あるおもちゃ開発企業が軍需産業とのつながりを持ち、より刺激的なおもちゃを開発しようとするところから始まる。開発担当者は、善玉と悪玉のキャラクター設定をあべこべにした上で、まるで箱から飛び出すかのようなダイナミックな動作を盛り込むようにという社長の無茶な要求に応えようと、軍用チップを密かに発注し、試作品に組み込んでしまう。

 そしてその新商品が、主人公の少年の両親が営むおもちゃ店にも入荷してくる。見た目はただのプラスチック製の人形だが、実際は内部に軍事グレードのAIチップを持った“生きた”存在。そのおもちゃたちは誰にも気づかれないうちに勝手に動き出し、善のキャラクターたちは少年の家にたどり着き、少年と不思議な交流を始める。

 やがて、少年のパソコン画面に映し出された自然の風景を彼らは自分たちの故郷の星だと信じるようになり、「そこへ帰りたい」と語りかけてくる。対する悪のキャラクターたちは、善の仲間を殲滅するようにプログラムされており、静かな住宅街に騒動を持ち込んでくる。夜中に響く物音、破壊された家具、知らぬ間に壊れていく家電たち。当然、少年の両親は息子のいたずらだと決めつけ、話を信じてはくれない。

 やがて、おもちゃたちの開発者も事態の深刻さを知り、少年の家に姿を現す。すでに暴走を始めていた悪のキャラクターたちとの直接対決が始まり、住宅街はまるで戦場のような様相に。開発者の助言により、電磁波でチップを無力化する作戦が立てられ、少年が電柱に仕掛けを施す。そして決戦の時、電磁波が放たれると悪のキャラクターたちは次々と焼け落ちていき、戦いは終息を迎える。善のキャラクターたちはというと、偶然にもシールドで保護されており無事だった。

 最後は、小さなヒーローたちが川を下っていく姿で物語は締めくくられる。彼らはどこかにあるかもしれない“星”へ帰っていくのだと信じつつ。

 おもちゃたちが生き生きと動きまわる様子は本当に楽しく、観ているこちらも自然と顔がほころびました。特に、兵士のおもちゃが自転車に巻き込まれて体がバラバラになったり、顔面が焦げてしまったりする描写は、決して軽くはないけれど、それでもどこか愛嬌があって、目が離せませんでした。改造されて異形の姿になる女性型おもちゃの不気味な変貌も、物語にピリッとしたスパイスを与えてくれていたように思います。

 ただ、個人的に少し驚いてしまったのが、ヒロインの感情の動きが非常に速いところでした。最初は明らかに別の恋人がいる設定だったのに、主人公が彼女を助けたその直後に突然キスする展開には、やや置いてけぼりを感じてしまいました。それでも、全体としてはテンポよく進む娯楽作品として、最後まで楽しく見ることができました。

☆☆☆☆

鑑賞日:2023/06/15 NETFLIX

監督ジョー・ダンテ 
脚本アダム・リフキン 
テリー・ロッシオ 
ギャビン・スコット 
テッド・エリオット 
出演キルスティン・ダンスト 
グレゴリー・スミス 
フィル・ハートマン 
ケヴィン・ダン 
デニス・レアリー 
ジェイコブ・スミス 
アン・マグナスン 
ウェンディ・シャール 
フランク・ランジェラ 
アーネスト・ボーグナイン 
ジム・ブラウン 
ブルース・ダーン 
ジョージ・ケネディ 
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