●こんなお話
地下洞窟で謎の生物に襲われる洞窟ダイバーたちの話。
詳細ネタバレあらすじ
冷戦時代、ルーマニアのカルパチア山脈にある修道院跡へ探検隊が入る。地下を調査するために爆破を行ったところ、床が崩れ、隊員たちは地下の巨大な洞窟へ落下する。洞窟内には翼のある生物と人間が戦う様子を描いた壁画が残されている。探検隊は洞窟の奥へ進むが、その後の消息は途絶える。
30年後、ニコライ博士と生物学者のキャスリン・ジェニングスらが修道院跡を調査する。地下には広大な洞窟と地下河川が存在しており、内部には外部から隔離された生態系が形成されていることが分かる。そこでニコライ博士は、洞窟を調査するため、ジャック・マカリスターをリーダーとする洞窟潜水チームを招く。
チームにはジャックの弟タイラー、トップ・ブキャナン、チャーリー、ブリッグス、ストロード、アレックスらが加わる。一行は潜水装備を使って地下へ入り、洞窟内を進んでいく。
ブリッグスが先行して洞窟内を調べた後、一行もさらに奥へ進む。途中でストロードが正体不明の生物に襲われ、水中へ引きずられる。ストロードの水中スクーターが洞窟の壁へ衝突し、その影響で岩盤が崩落する。入口へ戻る通路が塞がれ、チームは洞窟内に閉じ込められる。救助が来るまでには12日かかるため、ジャックたちは別の出口を探すことになる。
ジャックとトップが地下河川を進んでいると、生物に襲われる。ジャックは生物の一部を切断して逃れるが、身体に傷を負う。キャスリンは切断された生物を調べ、寄生体による変化を確認する。洞窟内にいる生物には、地上の生物とは異なる変化が確認されており、寄生体との関係が調べられる。
一行は洞窟のさらに奥へ進み、過去に洞窟へ入った探検隊の装備や遺体を発見する。その後、地下河川を下っていく途中でニコライ博士が流れに巻き込まれる。ジャックが助けに向かうが、ニコライ博士は水中へ引きずり込まれる。ジャックは水中でニコライ博士を襲った生物を確認し、その生物の手に人間のような文字があることに気づく。
ジャックが仲間のもとへ戻ると、身体に変化が現れ始める。寄生体による感染が進み、視覚や反応などに変化が起こる。キャスリンは、洞窟内の生物だけでなく、過去に洞窟へ入った人間にも同じ変化が起きた可能性を考える。
その後、チャーリーが洞窟上部の通路を調べるために岩壁を登る。通路の先から翼のある生物が現れ、チャーリーを襲う。チャーリーは岩壁から落下し、生物に襲われて死亡する。
ジャックの身体の変化が進む中、キャスリン、アレックス、ブリッグスはジャックと別行動を取る。タイラーとトップはジャックとともに行動する。
ジャック、タイラー、トップは洞窟の奥で大量の人骨が残された空間を発見する。さらに、その先に洞窟の外へ通じる可能性のある水路を見つける。タイラーはキャスリンたちを探すため、ジャックとトップのもとを離れる。
タイラーがキャスリンたちを探している途中、ブリッグスが生物に襲われる。タイラーはキャスリンとアレックスに合流し、ジャックとトップがいる場所へ戻る。
しかし、洞窟内の生物が人骨のある空間へ入り込み、水中の通路を通るために必要なリブリーザーを持ち去る。タイラー、トップ、キャスリン、アレックスは、水中の通路を使って脱出するために進む。
アレックスが水中へ入ろうとしたところ、生物に襲われて死亡する。タイラー、トップ、キャスリンは水中の通路を進み、洞窟の外へ脱出する。ジャックは洞窟内に残り、生物を食い止める。その後、洞窟内で爆発が起こり、岩壁が崩落する。ジャックの生死は不明となる。
地上へ脱出したタイラー、トップ、キャスリンは、その後それぞれ別れる。数日後、タイラーは街のカフェでキャスリンと会う。タイラーは、寄生体に感染して変異したジャックが地上で生存できる可能性について尋ねる。
キャスリンは、当初は寄生体が洞窟の外では生存できないと考えていたが、その考えを変えていると話す。そして、寄生体が洞窟の外へ出ようとしている可能性を示す。
キャスリンが立ち去る際、タイラーは彼女の目にジャックと同じ変化が現れていることに気づく。タイラーがキャスリンを追うが、キャスリンは人混みの中へ姿を消しておしまい。
●感想
物語の基本的な構成は、未知の洞窟へ探検隊が入り、そこで未知の生物と遭遇するという、モンスターホラーとして分かりやすいものになっています。専門的な装備を持ったダイバーたちが、地上から隔絶された洞窟の奥へ進み、そこで少しずつ生物の正体や洞窟に隠された秘密が明らかになっていく展開です。ジャンル映画として非常にオーソドックスな作りですが、洞窟探検とモンスターを組み合わせることで、物語が進むほど逃げ場が限られていく構成になっていました。
水中や洞窟内部を舞台にしているため、映像面では独特の雰囲気があります。地下河川や巨大な空間、水中を進んでいく場面など、普段見ることのできない場所を舞台にしているのは面白かったです。照明を抑えた暗い画面によって洞窟の閉鎖感を出しているのも分かりますが、その一方で、画面が暗すぎて何が起きているのか見えにくい場面もかなりありました。
さらに、生物が登場する場面や登場人物が逃げる場面ではカメラが大きく動くことがあり、画面の暗さとカメラのぶれが重なることで、何が映っているのか分かりにくくなることもあります。水中撮影や狭い洞窟内での撮影という難しい条件を考えると仕方のない部分もあると思いますが、もう少し画面が見やすければ、洞窟の広さや生物の姿をより楽しめたように感じました。
特に水中の映像には、この作品ならではの特徴があります。洞窟の内部には地下河川や広大な空間が広がっており、地上とはまったく異なる場所を探索している感覚があります。ただ、せっかく特殊な環境を舞台にしているだけに、暗さやカメラの動きによって、その空間の構造が把握しにくくなってしまうところは少し惜しく感じます。映像そのものに興味を引かれる一方で、場面によっては「何が起きているのか」を追うことが優先になってしまいました。
洞窟という閉鎖空間に加えて、水中という条件が重なることで、登場人物が自由に移動できる場所が少なくなっている点も面白かったです。水面まで戻るだけでも時間がかかり、さらに洞窟の崩落によって入口までの道が塞がれるため、物語の途中からは生物から逃げるだけではなく、洞窟そのものから脱出することも目的になります。この二重の制約が、作品全体のサバイバル要素につながっていました。
また、洞窟内の生物について、単純に未知の怪物が存在しているだけではなく、寄生体によって生物そのものが変化しているという設定も興味深かったです。ジャック自身にも変化が起こり、これまで人間だった人物が次第に別の存在へ近づいていくことで、物語の脅威が外部の怪物だけではなくなっていきます。
ジャックとタイラーの兄弟関係も、物語の中心に置かれています。ジャックはチームのリーダーとして洞窟内を進み、感染による身体の変化が起こった後も仲間を脱出させるために行動します。一方のタイラーは、変化していく兄と最後まで行動をともにします。この兄弟の関係が、単純にモンスターから逃げるだけの展開に別の軸を加えていました。
個人的には、タイラーについてはもう少し物語の中で変化が描かれてもよかったように感じました。兄のジャックに比べると、物語の終盤までジャックを追い続ける立場にいるため、タイラー自身がどのような判断をしていくのかという部分が、もう少し強く描かれていれば兄弟の関係もさらに印象的になったと思います。
閉鎖された洞窟の中で仲間が次々と減り、残された人物たちが別の出口を探しながら進んでいく展開は、ジャンル映画として分かりやすく楽しめました。未知の生物だけでなく、崩落、水中、限られた装備など、さまざまな障害が重なっていくため、脱出までの過程にはサバイバル映画としての面白さがあります。
終盤では、ジャックが洞窟内に残り、タイラー、トップ、キャスリンが地上へ脱出します。そして最後にキャスリン自身にも変化が現れていることが示されます。ここで物語は、洞窟の中に存在していた寄生体が地上へ広がる可能性を残して終わります。このラストによって、それまで洞窟の内部だけで展開していた物語が、最後の場面で地上へ広がる構成になっているのも印象的でした。
水中撮影、閉鎖された洞窟、未知の生物、寄生体による変異、そして洞窟からの脱出という要素を組み合わせた作品で、細かな設定よりも、地下洞窟を舞台にしたモンスターホラーとしての見せ場を楽しむタイプの作品だと感じました。暗い画面やぶれのあるカメラワークによって見えにくい場面があるのは気になりましたが、水中と洞窟を組み合わせた舞台設定には独特の魅力があります。未知の空間へ潜っていく探検要素と、そこで遭遇する生物、さらに人間自身にも起こる変異を組み合わせたところが、この作品の特徴だと思います。
☆☆☆
鑑賞日: 2017/05/26 DVD 2023/09/19 NETFLIX 2026/09/09 DVD
| 監督 | ブルース・ハント |
|---|---|
| 脚本 | マイケル・スタインバーグ |
| 出演 | パイパー・ペラーボ |
|---|---|
| コール・ハウザー | |
| モーリス・チェスナット | |
| エディ・シブリアン | |
| リック・ラヴァネロ | |
| マーセル・ユーレス | |
| キーラン・ダーシー・スミス | |
| ダニエル・デイ・キム |


