●こんなお話
妻がテロ事件で殺されたのでCIA職員がトレーニングを受けて犯人にリベンジする話。
●感想
薄暗いCIA本部の地下オフィス。そこでひたすらデータ解析に向き合う主人公チャーリー・ヘラーは、穏やかな日常を送っていた。妻サラがロンドンへ出張した年、国際テロ事件が起こり、彼女は無惨にも命を奪われてしまう。心をえぐられるような喪失感の中、チャーリーは静かな怒りを胸に秘め、犯人を追う決意を固める。
監視カメラに映ったわずかな影から、チャーリーは犯人たちの名前を特定する。しかし、上層部のムーアやホロウィッツは、大規模な作戦の妨げになるとして捜査を拒む。そんな中、CIA内部の匿名情報提供者インクワラインから極秘文書が届き、ドローン爆撃の隠ぺいや組織の腐敗が明らかになっていく。チャーリーは上司たちを言葉巧みに揺さぶり、現場訓練を受ける権利を勝ち取り、デスクワーク専門の素人から、武装して行動できるエージェントへと変わっていく。
捜査はロンドン、パリ、イスタンブールと国境を越え、チャーリーは持ち前の分析力を武器にテロリストを一人ずつ追い詰めていく。アレルギーを持つ相手には花粉を使って密室で追い込み、そのまま車に轢かせる。高層ビルの屋上プールでは爆発を起こし、相手を水と共に落下させる。即席爆弾による暗殺など、息を呑むような見せ場が次々と繰り広げられます。
最終的に黒幕シラーを船上で追い詰め、ロシアからフィンランド国境へと誘い出し、周到な罠で逮捕に成功する。その背後ではCIA副局長の失脚という大きな余波も生まれる。こうしてチャーリーは妻の仇を討ち、組織の腐敗を暴き、表舞台へと戻ることになる。物語は、彼を支え、監視役でもあったヘンダーソンとの再会で静かに終わる。
妻を失った男の復讐劇としては重いテーマを抱えながらも、花粉攻撃や高層プール爆破、YouTubeを参考にするという描写など、娯楽映画らしい仕掛けも随所に盛り込まれているのが魅力的でした。ラミ・マレックが見せる緊張感あふれる芝居も圧巻で、観る者を終始引き込みます。個人的には、暗くなりがちな題材をテンポの良い演出で飽きさせない構成が見事だと感じましたが、見せ場一杯のエンタメ映画なのか奥さんとの思い出がいっぱいの重たい映画なのか、ちょっとどっちつかずな印象の1作でもありました。
☆☆☆
鑑賞日:2025/08/09 Disney+
監督 | ジェームズ・ホーズ |
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脚本 | ケン・ノーラン |
ゲイリー・スピネッリ | |
原作 | ロバート・リッテル |
出演 | ラミ・マレック |
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ローレンス・フィッシュバーン | |
レイチェル・ブロズナハン | |
カトリーナ・バルフ | |
ジョン・バーンサル | |
マイケル・スタールバーグ | |
ホルト・マッカラニー | |
ジュリアンヌ・ニコルソン | |
エイドリアン・マルティネス | |
ダニー・サパーニ |