●こんなお話
「キミキミ」と100万回言ってくるヒロインに振り回される地味な男の子の話。
●感想
学校の図書館が閉鎖されることになり、その整理を頼まれた教師の主人公。かつて学生時代に図書委員だったことを思い出しながら、過去の記憶がよみがえっていく。
地味で目立たない生徒だった主人公は、いつも本ばかり読んでいて、クラスでも存在感は薄かった。ある日、盲腸で入院していたとき、病院のロビーで一冊の本を拾う。そこに現れたのが、クラスの人気者だった同級生のヒロイン。その本には、彼女が膵臓の病気で、そう長くは生きられないことが書かれていた。偶然とはいえ、ヒロインの秘密を知ってしまったことで、2人の関係が始まる。
ヒロインには「死ぬまでにやりたいことリスト」があり、スイーツを食べに行ったり、旅行してホテルに泊まったり、さまざまな思い出を主人公と一緒に作っていく。ヒロインの家に招かれた主人公は、彼女の元カレである委員長に絡まれたり、ヒロインの友人から関係を疑われたりしながらも、彼女との時間を過ごしていく。
しかし、ヒロインは検査入院。主人公は夜中に病院に忍び込んで会いに行く。やがて退院し、桜を見に行く約束をするが、待ち合わせ場所にヒロインは現れない。落胆して帰る途中、街頭ニュースでヒロインが通り魔に刺されて死亡したことを知る。彼女の家を訪ね、両親から日記を渡され、そこで彼女の本心や想いを知って号泣する主人公。
時は流れ、教師となった主人公は、結婚式を控えるヒロインの親友に会いに行く。ヒロインがかつて夢見ていた「友達を作る」という願いを叶えるため、「友達になってください」と告げて物語はおしまい。
地味な男子生徒が、明るくて人気者のヒロインに振り回される展開は、モテない男子にとっては夢のような物語でした。ヒロインは難病で余命が短いながらも、元気いっぱいにやりたいことを実行していく姿が印象的で、病気の恐ろしさや命の儚さがしっかり伝わってきました。
ただし、大人になった主人公のパートは掘り下げが足りず、教師としての悩みやヒロインとの約束に向き合う姿がカットされていたのは物足りなかったと思います。ヒロインの友達も、学生時代は攻撃的な性格だったのに、なぜ結婚に至ったのかという変化が描かれておらず、周囲の人物にヒロインが与えた影響があまり伝わってこなかったです。
クライマックスで発見されるヒロインの手紙も、急に出てくる感じが強く、感動が少し薄まってしまった印象もあったり。それでも、学生時代の2人のやりとりは魅力的で、切なくて温かい思い出として心に残る作品でした。
☆☆
鑑賞日: 2018/03/03 Blu-ray 2023/10/30 Amazonプライム・ビデオ
監督 | 月川翔 |
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脚本 | 吉田智子 |
原作 | 住野よる |
出演 | 浜辺美波 |
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北村匠海 | |
北川景子 | |
小栗旬 |
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