●こんなお話
年金世代の人たちがかつての仕事を発端に襲われるので逆に返り討ちにしていく話。
●感想
年金生活に足を踏み入れた元CIA工作員のフランク。穏やかな日常を送っていた彼の元に突然、何者かが襲撃に現れる。年金に関するちょっとした電話をきっかけに、平穏な時間は一変し、再び危険の渦中へと引き戻されていく。何が起こっているのかを探るべく、かつての仲間たちの元を訪ね、彼は一つひとつ手がかりを拾い集めていく。
ストーリーは、敵の正体を探るために仲間の元を巡っていくという非常に王道的な展開ながら、その中にしっかりとキャラクターの個性や関係性の楽しさが散りばめられており、飽きずに観ていられるテンポの良さが光っていました。ブルース・ウィリスを中心に、モーガン・フリーマン、ジョン・マルコビッチ、ヘレン・ミレン、ブライアン・コックスといった豪華キャスト陣が顔をそろえ、それぞれが伸び伸びと役柄を楽しんでいる様子がスクリーン越しにも伝わってくるのが印象的です。
随所に挿入されるアクションシーンも、年齢を重ねた登場人物たちならではの渋さと経験がにじみ出ていて、若いキャストによる派手なアクションとはまた違う味わいがありました。銃撃戦にしてもカーチェイスにしても、どこかユーモアと風格を感じさせる演出があり、スパイスとして絶妙に効いています。
物語は、副大統領が関わる陰謀の存在が明らかになっていく展開へと発展。クライマックスでは、主人公たちが副大統領を拉致して真相を暴くという大胆な作戦を決行します。正攻法では絶対に不可能と思われるミッションにも関わらず、かつてのプロフェッショナルたちがそれぞれのスキルを駆使し、次々と困難を切り抜けていく様子は爽快感がありました。ただ、そのテンポがあまりに良すぎることで、逆に重厚さやカタルシスの面では少し物足りなさを感じる部分もあったかもしれません。
また、一般人だったヒロインがあまり迷うことなくすんなりと主人公たちの活動に加わっていく過程については、もう少し心理的な描写があれば、より感情移入できたように思います。とはいえ、そのぶんスピーディで軽快なテンポが保たれ、全体としてはエンターテインメント作品としてのバランスが取れていた印象です。
世代を問わず楽しめる作品で、キャスト陣のやり取りの妙や、ベテラン俳優たちの貫禄ある立ち回りに魅了されながら、安心して観ることができました。過去を背負った者たちが再びチームとして動き出すという展開に、往年のアクション映画の良さを思い出させてくれる、心地よい一本だったと思います。
☆☆☆
鑑賞日:2020/11/11 テレビ東京
監督 | ロベルト・シュヴェンケ |
---|---|
脚本 | ジョン・ホーバー |
エリック・ホーバー | |
原作 | ウォーレン・エリス |
カリー・ハムナー |
出演 | ブルース・ウィリス |
---|---|
モーガン・フリーマン | |
ジョン・マルコヴィッチ | |
ヘレン・ミレン | |
カール・アーバン | |
メアリー=ルイーズ・パーカー | |
ブライアン・コックス | |
ジュリアン・マクマホン | |
レベッカ・ピジョン | |
アーネスト・ボーグナイン | |
ジェームズ・レマー | |
リチャード・ドレイファス |