●こんなお話
エコテロリストたちと一緒に行動するFBI捜査官の話。
●感想
この映画の最大の見どころは、何といってもエクストリームスポーツの映像美。スノーボードやスカイダイビング、バイクアクションなど、自然の中で繰り広げられる命知らずのスタントは、スクリーンで観るとまさに圧巻で、思わず体ごと後ろにのけぞってしまいそうな迫力がありました。CGやスタジオ撮影では出せない、リアルで生の感覚がスクリーンからダイレクトに伝わってきて、これは一度映画館で体感してみたくなるものでした。どんなカメラワークで、どんな機材でこのシーンを撮っているのか、メイキング映像もつい気になってしまうほどです。
物語はというと、冒頭で主人公が親友をスポーツ中の事故で亡くしてしまい、そのショックから競技から離れるところから始まります。しかしなぜか突然FBIに採用され、過激な犯行を繰り返す謎のグループの捜査を任されることに。しかも、その犯人グループもまたエクストリームスポーツの達人たちであると見抜いた主人公は、自身のスキルを生かして彼らの輪の中に潜入していきます。
設定としては王道の潜入捜査ものですが、通常このジャンルにあるような「正体がバレるかもしれない」という緊張感は薄めで、捜査官としての使命感よりも、犯人グループとのスポーツを通じた交流や友情のほうが目立っていたように思います。見方によっては、潜入というより一緒にスポーツを楽しんでいるだけのようにも見えてしまいました。
敵キャラクターたちも金や私欲のためではなく、「自然の摂理に従う」といった精神的な信条を掲げて行動していて、少しつかみどころのない存在に。なぜ彼らが命がけの犯罪行為をしているのか、何を最終的な目的にしているのかがぼんやりしていて、物語の芯がやや不明瞭に感じられました。彼らの哲学に共感できれば別ですが、もう少し描写が丁寧にあると良かったかもしれません。
映像の迫力や音響の臨場感は非常に魅力的で、それだけで観る価値はあるのですが、全体としては「アクションを先に決めて、あとから物語をくっつけたのかな」と思ってしまうような印象を受けました。せっかくの潜入捜査という題材なのに、ドラマ部分が淡く、見どころが派手な映像に集中してしまっている構成は少しもったいなく感じます。
とはいえ、エクストリームスポーツが好きな方、スリルとスピードを映像で体感したい方にはおすすめできる一本だと思います。ストーリーを追うというより、体感型アトラクション映画として楽しむのが一番かもしれません。
☆☆☆
鑑賞日: 2016/02/23 チネチッタ川崎
監督 | エリクソン・コア |
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脚本 | カート・ウィマー |
出演 | エドガー・ラミレス |
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ルーク・ブレイシー | |
テリーサ・パーマー | |
デルロイ・リンドー |
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