●こんなお話
マジシャンが色々強盗して、当然追いかけっこする話。
●感想
マジシャン4人組がラスベガスのショーで観客を驚かせるド派手なイリュージョンを披露する。観客の1人をパリの銀行へ瞬間移動させ、金庫から大金を盗ませた上に、それを会場中にばらまくというマジック。そこから物語が始まり、FBI捜査官がその不可解な犯罪の謎を追い、4人のマジシャンを追跡する展開に。
まず、映像的な演出は非常に魅力的でした。スピード感のあるカメラワーク、きらびやかなステージの演出、テンポよく切り替わる視点など、視覚的な面白さが詰まっていると思いました。特に中盤の鍵師とFBI捜査官の追いかけっこシーンは圧巻で、いくつのアクションが組み合わさっているのかと思うほどの動きの連続。細部までよく作り込まれていて、視覚的な快感を強く感じます。
しかし、物語の「種明かし」や「仕掛けの整合性」に目を向けると、途端に疑問が湧いてくるもので。催眠術の設定があまりに万能すぎて、どんな人間にも即座に催眠が効くという超能力に近い状態でした。相手を催眠で自在に操れるのなら、マジシャンじゃなくて世界征服ができそうなレベル。種明かしも「実はこうでした」と後出しで次々に出されますが、それがどれも現実離れしていて、やりたい放題感が強くなってしまう感じでした。
現金輸送車の襲撃、遺体のすり替え、巨大な鏡を使ったイリュージョン、バスに仕掛けた車ごとのカーチェイス、3Dホログラムなど、1つ1つのトリックが大がかりすぎて、「これ準備だけで1本の映画になるのでは?」と思ってしまいます。しかも、それをたった4人のマジシャンがこなすという前提がまた無理があると感じました。
そして最大の謎がラストの「黒幕」の登場。この人物が捜査の中心にいたことや、なぜそんな立場になれたのか、矛盾が多すぎる印象で。黒幕が自らマジシャンたちを集めて事件を起こした動機や必要性もあまり説明されず、最後に「私が黒幕でした!」と出てきても、観客としては納得よりも困惑が先に立ってしまいました。むしろ「自分でやったほうが早いのでは?」とすら思ってしまいます。
とはいえ、映画全体としてはテンポが良く、視覚的なエンタメ性が高いです。何も考えずに流れに乗って観ていれば退屈せず、派手な演出とチェイスシーンで最後まで勢いは保たれていると思いました。深く考えなければ楽しめますが、冷静になると設定の粗や矛盾が目につくタイプの映画だったと思います。
☆☆☆
鑑賞日: 2013/10/17 DVD 2016/07/23 NETFLIX
監督 | ルイ・レテリエ |
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脚本 | エド・ソロモン |
ボアズ・イェーキン | |
エドワード・リコート |
出演 | ジェシー・アイゼンバーグ |
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マーク・ラファロ | |
メラニー・ロラン | |
モーガン・フリーマン | |
マイケル・ケイン | |
ウディ・ハレルソン | |
アイラ・フィッシャー | |
デイヴ・フランコ |
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