映画【柔道龍虎房】感想(ネタバレ):柔道×酒×音楽!異色の主人公たちが織りなす型破りな人間ドラマ

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●こんなお話

 元柔道家のバーのオーナーとそのオーナーに挑む柔道家と歌手を夢見る女性の話。

●感想

 バーで酒に溺れながら、店のオーナーでありバンドマンとしても活動している主人公。そんな彼の前に、無言でにらみをきかせる謎の男が現れ、柔道の勝負を挑んでくる。しかし主人公はそれを軽くあしらい、相手にしないまま話は進む。一方で、東京で歌手になる夢を追う女性も登場し、彼ら3人はひょんなことからタッグを組む。

 ゲームに夢中なヤクザのボスの隙を突いて、主人公たちは金を盗む。けれども手に入れた大金を主人公はあっさりとギャンブルで溶かしてしまい、再びバーでの日常に戻っていく。

 その後も物語は進み、柔道家の男が再び現れて主人公につきまとい始める。主人公の過去を知る柔道時代の師匠とその息子も登場し、「道場を継いでほしい」と話を持ちかける場面や、ヒロインがAV出演の契約を迫られるシーンなど、さまざまな人間関係と葛藤が描かれていく。

 柔道の大会が開かれ、師匠が倒れ、息子は施設に入れられてしまうが、そこを抜け出して柔道場に向かう。主人公は彼と一緒に食事をし、少しずつ自分の過去と向き合っていく。ヒロインは「台北で成功して、香港で成功して、そして東京で成功する」という夢を語るが、それを心配する主人公とのやりとりも印象的でした。

 物語の終盤では、主人公がさまざまな相手と柔道で対決していく流れになる。ただし、柔道といっても形式的なスポーツ試合ではなく、喧嘩のような荒々しい戦い方が特徴で、そこは迫力ある見せ場だったと思います。

 作品全体としては、序盤の話のセットアップがかなり長く、3人の登場人物がどう関わって、どんな目的で動くのかが見えてくるまでに時間がかかる印象。そのため、前半は物語の方向性がつかめず、ややぼんやりとした印象を受けました。

 とはいえ、途中で登場人物3人が別々のテーブルで同時に違う会話を繰り広げるシーンでは、字幕を追うのが大変ながらも演出として面白く、意外なテンポの良さを感じられました。柔道のシーンも喧嘩に近いリアルな描写で見ごたえがありました。

 スポーツ映画というには少し違うし、青春映画として見るには主人公たちが大人すぎる感じで。アクション映画とも少し違う、不思議なバランスの1本でした。クセの強いキャラと破天荒な展開が混ざり合って、独特な世界観を作っている作品でした。

☆☆☆

鑑賞日:2023/07/22 DVD

監督ジョニー・トー 
脚本ヤウ・ナイホイ 
イップ・ティンシン 
アウ・キンイー 
出演ルイス・クー 
アーロン・クォック 
チェリー・イン 
レオン・カーファイ 
ロー・ホイパン 
カルバン・チョイ 
チョン・シウファイ 
ジャック・カオ 
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